第257話喫茶部アルバイトとしての史

史は久しぶりに、カフェ・ルミエールのアルバイトとして、珈琲と紅茶を淹れいている。

本来であるならば、史はカフェ・ルミエール喫茶部開店当時のメンバーで珈琲と紅茶を淹れる担当だった。

しかし、史が新聞部の他に合唱部や音楽部、カフェ・ルミエール楽団へ参加したこと、その後は手首の怪我などで、なかなかアルバイトができなかった経緯がある。


史は

「洋子さんと奈津美さんには迷惑をかけてしまって」

と頭を下げるけれど


洋子は

「いえいえ、最初は史君がいなかったら、どうなるかわからなかったし」

「音楽とかここのホームページでも協力してもらっているから」

と、史を責める気持ちは全くない。


奈津美も

「珈琲だって紅茶だって、史君のやり方で淹れているの」

「だから、頭なんて下げないで」

と、やさしい笑顔。


結衣と彩も話に参加してきた。

結衣

「本当に都合がつく時でいいからね」

「無理だけはしないでね、これから寒くなるし、コンサートもあるから」

と、二人とも同じくやさしい。


史もそれを聞いてホッとしたようだ。

キッチンに入って、珈琲を淹れて持ってきた。


「ホンジュラスにしました」

それを飲んだ洋子たちが目を丸くする。


洋子

「うわ・・・落ち着く味」

奈津美

「蒸らし方かなあ、味も香りもふくらむ」

結衣

「華が開くような香りが最高だ」

「後で、もう一度淹れて、録画する」

と、大好評。


「珈琲とか紅茶を淹れるのも好きです」

ニコニコと笑っている。


洋子

「マスターが、俺は史君の師匠だけど、負けたって言っていた」

クスッと笑う。


「そうかなあ、マスターにはかないません」

と謙遜。


そんな会話をしていたら、奈津美が

「ねえ、由紀ちゃんは?」

と聞いてきたので


「ああ、朝寝坊して、母に叱られていました」

「僕は、ソソクサと逃げるようにと」

ニヤッと笑う。


結局、史は珍しく一日アルバイトで、珈琲と紅茶を淹れ続けた。

来店客にも、やはり、好評。

史もうれしかったようで、すっきりとした顔で、帰宅していった。

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