第246話史と里奈の横浜デート(8)

史と里奈は、ブリキのおもちゃ博物館に入った。

まず、売店で「珍しいなあ、昭和のもの?」などとキョロキョロするけれど、「後で見る」となって、そのまま展示室に進んだ。


「いろいろ増えているのかな」

里奈

「一つ一つ、思いがこもっているなあ」

「子供の喜ぶ顔と、それを喜ぶ親たちの顔かな」

里奈

「案外日本製もある」

「輸出して戻ってきたのもあるみたい」

・・・・そんな感じで、興味深くブリキのおもちゃを見る。


里奈

「わ?これ、何?」

「ああ、これ半魚人だね」

里奈

「美女が襲われるんだ」

「うん、よくはストーリーは知らないけど、絵ではそうなっているね」

里奈

「襲われたら、助けてね」

「うん、任せて」

・・・熱々なので、省略。



さて、二人は庭に出た。

するとお目当ての大きな犬がいる。

里奈

「なじみの犬?」

「そうだよ、大きいしやさしいし」

と、頭をなでている。

里奈

「史君、動物好きなの?」

「うん、飼ってはいないけれど、好きだよ」

里奈は、史の意外な一面を発見した。

それはそれで、うれしいものがある。


その後はブリキのおもちゃ博物館を出て、隣接するクリスマスグッズ専門店に。

史も里奈もいろいろ買い込んでいる。


その店も出て

「えっと、元町まで歩こう」

里奈

「うん、お洒落な町だよね。憧れなの」

「少し急坂を下るよ」

里奈

「うん、それはかまわないけれど、何かあるの?」

「この間、母美智子が坂をのぼって息切れしたんだって」

里奈

「へえ、そんなに?」

そんな話をしながら、元町へ続く坂道をくだる。


里奈

「うん、確かに」

「ここでレモンとか転がしたら、大変」

里奈

「プッ!降りるのものぼるのもね」


確かに、急坂である。

それでも、大した距離ではないので、すぐに元町の通りに出た。


里奈

「ほーーーかっこいい!お洒落」

「それでも、少し歩いたから、お茶でも」

里奈

「うん、その後はお買い物していい?」

「はい、案内します」


と、二人きりの時は、本当に幸せである。

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