第193話史と里奈の御茶ノ水と神保町デート(2)

里奈はジリジリとして史の返事を待つ。

史はあまり気にしていないようだ。

「そうだなあ、まずは神田明神様に参拝することにしようかなあ」

「そうすると御茶ノ水で降りて、聖橋を渡って」

当たり前のことをブツブツとつぶやいている。


里奈は、我慢できなかった。

「ねえ、史君、その話はいいから、史君の大好物のこと、教えて」

ちょっと強めに迫る。


史は

「え?」って感じ。

ようやく里奈の目線に気づいている。

そして、ちょっと恥ずかしそうに

「ああ、佃煮でね、葉唐辛子だよ、ピリッとして美味しいんだ」

簡単に答えてくる。


里奈は

「へえー・・・」

あの美食家の史が・・・となる。


史は話を続けた。

「あのお店には、古くからの神田というか江戸風の味のものが、たくさんあって」

「大旦那が僕の血筋は京都って言うけれど、江戸風味が好きなんだ」

「やはり育った所だし」

そして、キュッと口を結んだ。


里奈は、史のそんな顔がうれしい。

どこかツンとすましている史より、本音を話してくれる史が目の前にいる。

「私もその葉唐辛子買って帰る」

「他にも江戸風味のものを、たくさん買って帰る」

「冷やし甘酒も、甘酒かき氷も食べたい」

そこまで言って、史の手をギュッと握る。


史は、ニッコリと笑った。

「ありがとう、一緒にね」

そして、また変わったことを言う。

「ところ天も美味しいの、そこのお店」


里奈は

「もーーーー!史君!」

「迷っちゃうでしょ!」

ますます、史の手をギュッと握る。


・・・暑くなってきたでここまでにします。


あ・・・御茶ノ水と神保町デートは、次の日曜日と決定とだけは書いておきます。

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