第90話史と里奈(3)
史から思いがけない「手作りケーキのお礼」をもらった里奈は、うれしさと不安が混じる不思議な心理になっている。
「確かにケーキはメチャクチャ美味しい、それも私のためになんて・・・感激・・・」
「でも、史君の味覚は洋子さんがほめるぐらいに鋭い、料理も上手そうだ、私は料理は自信ないなあ」
何しろ、里奈は柔道部員、「質より量」の食事を続けてきてしまったのが大きいのである。
「私も史君に何か作ってあげたいなあ」
「史君に美味しいって食べてもらえると、どれほどうれしいことかなあ」
「でもなあ・・・我が母も、料理はイマイチだし」
里奈がそんなことを考え、少しうつむいていると、史が心配そうな顔をする。
「ねえ、里奈ちゃん、どうかしたの?」
やさしい声までかけてくれた。
里奈は、ますますドキドキである。
しかし、それでも、考えた。
「こうなったら、ここで料理を習おう」
「洋子さんも、アルバイトの結衣さんも彩さんも、マスターも、全員料理人だ」
「そうするしかない!」
里奈の決断は早い。
即座に立ち上がり、洋子にヒソヒソとお願いをしている。
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