第66話史の回復と結衣(1)

史の右足首もようやく回復し、珍しくカフェ・ルミエールに入ってきた。


「あ!お久しぶり!大丈夫?」洋子

「あれ?今日は一人?里奈ちゃんは?」奈津美

「いいの!里奈ちゃんは!史君が一人で来たんだから!」洋子

「あれ?妬いているの?洋子さん」奈津美

・・・とにかく、大騒ぎである。


しかし、史の目的は洋子や奈津美ではないらしい。

どうやら、アルバイトの結衣に目配せ。

結衣は、にっこりと笑い、そして、さっと史の手を握り、カウンター席に誘導する。


「すみません、足首大丈夫ですから」

史はちょっと赤い顔になるけれど、結衣は全く遠慮しない。

「いやいや、わざわざ来てもらったんだから」


そんな結衣の姿を見て、洋子と奈津美は顔をしかめるけれど、結衣は史に話があるようだ。


「でね、今度の月曜日、いいかなあ」

何かパンフレットを渡している。

結衣の顔も赤くなり、かつ「ニンマリ顔」


「えっと・・・はい・・・大丈夫です」

史は、いつもと変わりなく、ハンナリとした応え。


「わぁ・・・うれしいなあ・・・これはこれは・・・」

「じゃあ、今日のケーキは私のオゴリ」

「何にする?」

結衣は、ますます、史に迫る。


「えっと・・・ガトー・ショコラでお願いします」

史の注文はガトー・ショコラ、これも洋子の自慢のケーキである。


「はい、了解!」

結衣が、ますますニンマリとしていると、洋子と奈津美が近づいてきた。


「一体何?」洋子

「里奈ちゃんとか大丈夫?」奈津美

「秘密は良くない」洋子

「月曜日って何?」奈津美


・・・少し危ない雰囲気が漂っている。



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