第54話カフェ・ルミエールの広報誌(2)
土曜日の朝、約束通り、洋子は史の家にお迎えにきた。
母の美智子や姉の由紀が「上がってお茶でも」と言うけれど、
「あら・・・うれしい・・・でも、あの、史君の取材で店でやるので、時間もかかるから」
少々、珍しくシドロモドロだ。
そして、史が見えた瞬間、自分の車に引きずり込み、有無を言わせず即座に出発。
その洋子と史を、呆れて見送るしかない母と姉の会話。
「うーん・・・よくわからないなあ・・・史みたいなのどこがいいのかな」美智子
「でも、恋人は無理って、洋子さんは年増すぎ、ライバルも多いよ」由紀
「え?何?ライバルって、あの史を好きな人がいるの?」美智子
「うん、あの子、学園内ではね、すっごいよ、群がっている」由紀
・・・・・・
やはり、母親が一番わかっていない。
それはともかく、洋子は史と車内で二人きりになった途端、ドキドキしてしまった。
「なんか、史君ってお人形みたいだ」
「肌とか、メチャクチャきれいだ」
「白くて艶めかしい」
「美智子さんよりきれいな顔している」
「誰かが妹キャラって言ったけれど、そうかも」
「うー・・・ドキドキしてきた」
「史君のフェロモン?」
「私、大人だよ・・・史君は?」
「やば・・・変なこと考えているって・・・」
洋子が、「変なこと」を考えてしまい、赤くなっていると、史から声がかかった。
「ねえ、洋子さん」
「え?何?史君」
少し声が裏返った。
「あの・・・道・・・まちがえていませんか?」
「あ!やば!」
洋子は、ますます赤くなっている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます