第53話カフェ・ルミエールの広報誌(1)

史の右足首の怪我も、少しずつ回復してる。

リハビリも順調、登下校は里奈が付き添い、病院には奈津美が病院に送り迎えをしている。

史自身は「恥ずかしい、自分で行きます」と言うけれど、周囲が全員承知しない。


「あなたは、何しろ危なっかしい」母の美智子

「せっかく里奈ちゃんとか、奈津美ちゃんとかが付き添ってくれるんだから、好意を無駄にするって言うの?」姉の由紀

「そうだよ、治りかけて、また怪我したら困るでしょ?そういう不注意がいけないの、まずはしっかり治さないとだめ」洋子

「私が病院に送り迎えしてもいいけどさ、ついでに婦人科にもいくことになるよ、そうしたい?」涼子

直近の周囲の女性たちは、こんな感じ。


クラスメートとか、学園内の女生徒は・・・


「とりあえず、今はリハビリ係で里奈ちゃんに任せる、リハビリ完了後は様子を見て、私が史君をゲットする」

「里奈ちゃんは、単に家が近いだけさ、柔道部の不始末の責任もあるしさ、でも、あなたのゲットは認めない」

たいていこんな感じ、まるで史の感情など考えない談義謀略が繰り広げられている。


さて、そんな史に、洋子から連絡が入った。

「あのね、史君、前にお話した、カフェ・ルミエールの広報誌お願いできないかなあ」

「まだ足が痛かったら無理はしないでね」

「でもさ、学園まで行けるんだから、取材ぐらいはできるよね」

どうしても、取材させたいようである。

というよりは、史の顔を見たいのだと思う。


史は

「わかりました、土曜日でいいですか?」

「広報誌のスタイルとか、それは、お店でゆっくり相談しましょう」

以前よりは、元気になった声で応えた。


洋子は、少し安心した。

そこで、もう一言

「あのさ、私がお迎えに行ってもいい?」

「ねえ、たまにはさ・・・史君とゆっくりお話したいしさ」


史は

「母とか姉には?言ったほうがいいのかな」


洋子は少し困った。

「えーっと言ってもいいけれど、来なくてもいいって言っておいて」


「はい、そう言っておきます」

はんなりと応え、電話を切った。


洋子はどうやら、史を独占したいらしい。








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