第38話カフェ・ルミエールと地域のつながり
史の怪我の決着が「一応は」ついたことで、マスターもほっとしている。
「ああ、それがいいかな、史君には・・・あの女の子だろ?」
「史君が開店の時、スピーチした時に、支えてくれた女の子だよね」
涼子も、覚えていたらしい。
「そうだね、里奈ちゃんって女の子だよね、史君にはお似合いかなあ」
「ああいう機転がきいて、さっと動く女の子がいいな」
「史君は何しろおっとりしているからね、それも魅力だけど、時々弱い」
二人でそんな話をしていると、三輪担任と学園長が、入って来て、カウンター前の席に座った。
「ああ、大変でしたね」
マスターが声をかけると、三輪担任が頭を下げる。
「いえいえ、ご心配かけまして」
「いや、今回は手出しはしていないからさ」
マスターは少し笑う。
「史君もねえ、なかなか人気があるんですが、やはり、中にはそれを気に入らない生徒もいましてね、こういう事件が起きるのです」
学園長も、少し悩んだ顔になる。
「いえいえ、そういう苦労も、学園長も大変ですねえ、なかなか出来ませんよ」
「ここの店で、ゆっくりくつろいでください、どんな愚痴でも聞きますよ」
マスターは、二人の前に水割り、涼子は小さなマルガリータのピザを置いた。
「本当に助かります」
学園長と三輪担任が、少しくつろいでいると、他の客がカウンターに近付いて来た。
「私、地域の自治会長している橋本と申します」
「学園長様ですか?」
その客は自治会長の橋本と名乗った。
学園長も席を立ち、
「はい、学園長の山本です」
名刺を渡す。
「それでね、学園長、たいしたことではありません」
橋本は、少し笑っている。
「と、申しますと?」
学園長は、少しわからないようす。
「いや、一緒に仲良く飲みましょう、地域の人も学園を応援したいので」
橋本は、そのままカウンター前に座ってしまった。
「ああ、それは助かります、すごくうれしい話ですよ」
学園長もほっとした顔。
「ああ、そうですね、地域オーケストラもありますしね」
「この店は、原則、地域密着です」
「大いに、地域の歓談の場所としてお使いください」
「何しろ、料理の素材は地産地消なので」
マスターもうれしそうだ。
その後は、自治会長の仲間も加わり、学園と地域のつながり強化や、カフェ・ルミエール楽団の地域行事参加まで話が発展。
途中で、涼子が一言
「これで歓送迎会、暑気払い、忘年会はここで決定ですね!」
全員が大笑いになっている。
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