ケチャップ王国とマヨネーズ王国
フィーネ
第1話 ケチャップ王国
ここは、ケチャップ王国の首都ケチャップ。
ケチャップ城の一室で国王ケチャップ5世は、側近のトマトからこんな報告を受けていた。
「王様。どうやらフライド王国の姫君、ポテト様がマヨネーズ王国のマヨネーズ5世とご婚約されるようでございます」
この報告を聞いた王は、持っていたワイングラスを床に落とした。
「ポテト姫が? 婚約……? あの姫達全てとか?」
「どうやら、そのようでして」
「ず……い」
拳を握り、ワナワナと震えだした王は、ブツブツと何かを言い始めた。
「ずるい。あの姫達を全員とは……。半分分けろ、あのエセクリーム系男子」
実に、実に非リア充感満載である。
そう。王様だからってモテる訳じゃないのだ。権力があったってダメなものはダメなのである。
先代のケチャップ王4世が若くして亡くなり、まだ20歳前の5世には学ぶこと《やること》が多かった。部屋に引きこもっては書類やらなんやらのサインに、たまに開かれる会議やパーティー。その上、帝王学なども学ばされ、それから開放されても剣術のお稽古がまっている。言うなれば、国という大きな会社の社畜である。当然貴族の娘などとも知り合うが、好みではなかったり既に婚約済みだったりする。そんなこんなで、未だに女を知らない王なのであった。
そんな彼にショッキングなニュースが入ったのだから、もう落ち着いてなどいられない。
「王様。落ち着いて下さい。私たちにはまだ、ライス姫達がおります」
トマトが必死になだめるも、甲斐はなく、
「クリーム系男子を装った肉食系男子など私は認めないぞ。変態マヨネーズめ」
「それは、酷い言われようだ。まあ、僕はクリームではないからね。主成分は卵とお酢と油だよ」
そういう問題でもない気がするが、雰囲気だけはクリーム系男子の、マヨネーズ5世がふわふわ系の服に身を包み現れた。
「そんなもの、デブの元ではないか! ポテト姫達を太らせる気なのか! 」
「嫌だなぁ。僕の国にはカロリーハーフのマヨネーズもあるんだよ? この国にはカロリーハーフのケチャップなんてないだろう?」
顔に似合わないマシンガントークで、ケチャップ王を追い詰めるマヨネーズ王。
「ぐっ……。トマト! お前も何か言え!」
「王、お言葉ですが、それでは負けを認めることになってしまいます」
側近にも見放され、軽く絶望したその時……
ドッシーーーーンッ!
すさまじい音とともに、1人の少女が現れた。
「いったぁ~。着地失敗した……」
キラキラした服を着た、見た事のない少女だった。
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