精算したそれ
ずわりす
第1話
私もあなたも生きるのが下手くそだったね。
私は隣に座る彼の手を握らずにそっと横に置きならがらそう言った。
彼は何も返さなかった。
いつからこんなふうになってしまったんだろう。最初はあなたも私もいい人間だったのにね。
彼は相変わらず何も言わない。
もともとそういう人だから私も何もそれについて言及しない。
ただその小さなアパートの小さな一部屋には、ある男女の終わりだけが転がっている。
私はこれからどうしようか。新しい彼を作る?そんなことする気は到底起きなかった。
後悔の二文字が私の全てを埋め尽くして、それに捕らわれた私はもう動くとともできなかった。
私は最後まで正しくいることが出来なかった。
なんでこんなことになっちゃったの
そんなつぶやきも空気と絡まって消えていってしまう。
彼の胸元からドクドクと流れる、とても眩しいくらいに鮮やかなそれは、私を嘲笑うかのように私の足元に向かって流れてきた。
私は、もう。
精算したそれ ずわりす @zuwarisu12
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