その夜、ギターは、ひそやかに泣く

 すずがレッスンを終えてピアノ教室から出たとき、おむかえに来ていたママは、お仕事スタイルでバッチリきめていた。


「すずちゃん、さあ、車に乗って。今日のレッスンは、どうだった?」

「うまくできたよ。いつもどおり」


 車のコンポからは、ブラームスの子守歌が流れている。ママは、頭文字がBの音楽家の中で、ブラームスがいちばん好きだ。


 ママは美人だ。白いスーツとシートベルトがママの体をしめつけるから、おっぱいが大きいのがよくわかる。今夜も、ママはお仕事。すずの家にはパパがいなくて、ママはいそがしい。二年前、すずが三年生のころ、ママはパパと離婚した。


 ママが帰ってくるのは、夜中の二時。おそければ、朝になってから。しのび足で家に入ってくるママの体からは、バラの香水とお酒のにおいがする。


 夕ごはんのために、いつものカフェに寄った。スープとサラダがついたオムライスをたのむのは、すずだけだ。ママはハーブティーしかたのまずに、夕ごはんを食べない。お仕事でお世話になる人が、ママを夕ごはんにさそってくれるんだって。


「すずちゃん、おいしい?」

「うん、もちろん。あたし専用に作ってもらうんだもん」


 すずは小学生だから、カフェの店長さんは、特別に小さなサイズのオムライスを用意してくれる。オムライスが小さいかわりに、ジュースをサービスしてくれる。店長さんはやさしくて公平な人だ。


 いつもどおり、すずは大急ぎで夕ごはんを食べた。それから、ママの車で家に帰った。ママがガレージに車を入れている間に、ママのおむかえのタクシーが、家の前にやって来た。


 すずの胸が、ドキドキしはじめる。


「運命の夜が始まった」


 すずは、つぶやいた。運命の夜。声に出してみると、それはまるで呪文みたいだった。


 ママは、すずのつぶやきに気がつかない。いつもと同じ笑顔で「行ってきます」と言って、タクシーに乗りこんだ。タクシーは、あっという間に走り去った。


 すずは、にっこりした。胸の前で、両手のこぶしをにぎる。


「さあ、運命の夜が、始まった! 冒険に出よう!」


 音符のもようのレッスンバッグを抱えて、すずは、自分の部屋にかけこんだ。レッスンバッグから中身をぜんぶ出して、かわりに、おさいふとペンとメモ帳を入れる。


 すずは部屋の中を見回した。ベッド、窓、本だな、机、ピアノさん。


 ピアノさんが、この部屋の女王さま。アイスブルーのカバーをドレスみたいに着こなして、どうどうとしている。その足下に、黒い革張りのギターケースがねかせてある。


「ギターさん、今夜は、あなたを連れていくよ」


 すずは、ギターケースの前にかがみ込んだ。ケースの留め金をはね上げて、ふたを開ける。


 ああ、と、すずは思わず熱い息をついた。ケースの中のギターと再会するときは、いつもそう。すてきすぎる。


 恋って、きっとこんなのだ。すずは、学校の男子にもテレビのアイドルにも、興味がないけれど。


 ギターは、マーティンという名前だ。もっとくわしくいうと、「マーティンO-18」。夏休み、ピアノの本を買いに行く楽器屋さんで、すずはマーティンに出会った。


 あのとき、すずは急に、だれかに呼ばれたような気がして、かべの上のほうを見た。そこには、いろんな種類のギターがずらりと並べられていた。本当にたくさんのギターがあったのに、すずには、だれがすずを呼んだのか、すぐにわかった。


 アコースティックギターの中で、いちばん小さい。うすくて、キュッと、くびれている。深い茶色で、しみも傷もない木目が、どんなもようよりも美しかった。


「ママ!」


 気付いたら、すずは、そのギターを指差していた。


「あたし、あのギターがほしい!」


 すずは、生まれてはじめて、ママにおねだりをした。



***



 すずはタクシー会社に電話をして、一台、家の前まで来てもらった。なれたものだ。ママのつごうが悪い日には、タクシーでピアノ教室や塾に通っている。


 不思議な感じ。体じゅうがドキドキ熱くて、パワーがわいてくる。だって、運命の夜。冒険。しかも、ギターのマーティンとデート。


 革張りのケースは、とてつもなく重い。だから今、ギターは、持ち運びに便利な、リュックサックみたいなケースに移してある。ギターのおかげで、背中があったかい。


 タクシーに乗り降りするとき、ギターが大きすぎて、ちょっと大変だった。ギターのおしりは、すずのおしりよりも下に来るし、すずの頭の後ろからは、ギターの長い首がニョキッと生えている。


 オムライスのカフェの近くで、タクシーを降りた。アーケード街の外れだ。ピアノの先生が言っていた。


「お店のシャッターが下りてからは、アーケードは若者のたまり場になるのよ。一人では歩きたくないわ」


 ワカモノノ、タマリバ。先生は、すごくいやそうだった。


 すずは歩き出した。アーケード街は歩行者天国だ。シャッターが下りていると、どこが何屋さんだったか思い出せない。あちこちにワカモノのグループがいて、思い思いのことをしている。


 タマリバって、こういうことなんだ。


 帽子を逆向きにかぶった、ぶかぶかの服のおにいさんたち。大きな音で音楽を鳴らしながら、踊っている。ロボットっぽい動きだ。音楽も、機械の音だらけで、とがっている。


 学校の制服を着た、おにいさんたちとおねえさんたち。スニーカーをはいているから、中学生だ。高校生だったら革ぐつだって、ママが前に言っていた。


 ギターを弾いて歌うおにいさんたち。あっちとこっちと、競争するみたいに声を張り上げている。悪いけど、二人とも上手じゃない。ついでに、顔がイケてない。


 みんな自分たちのペースで、なんだかよくわからないけれど、楽しそうだ。


 白いアーケードの内側は、光がこもって、もわぁっと明るい。声や足音や音楽は、丸い天井をめぐってから、降ってもどってくる。


 すずは、ピアノの発表会をするコンサートホールを思い出した。暗くも明るくもない、あの感じ。小さな音でもよく響くから、ピアニッシモのタッチも、楽譜をめくる音も、だれかのあくびも、ちゃんと聞こえるのだ。


 大人がいた。


 背広の男の人たちが、さわいでいる。ワカモノよりも、うるさい。よっぱらっているのだ。スカートの短いセーラー服のおねえさんたちが通りかかったら、大人たちは「早く帰れ!」とどなった。あの大人たち、サイテーだ。


「おい、そこの、ちっちゃいおじょうちゃん!」


 しまった、目をつけられちゃった。


 よっぱらいの大人たちが近寄ってきた。お酒のにおいが気持ち悪い。にげなきゃ。すずは息を止めて、回れ右をした。ギターケースの肩ひもをつかみながら、レッスンバッグを抱きしめて、思い切り前かがみになって、かけ出す。


 二十歩を数えたところで、ブハッと息を吐いた。息をしながら、さらに三十歩。あとは、数がわからなくなった。


 すずは、下を向いたまま、とにかく走った。走って走って、よっぱらいの声が聞こえないところまで走った。


 ここはどこだろう? ふと、なつかしいような音がした。すずは顔を上げた。


「あっ!」


 すずはドキッとした。マーティンを見つけた。すずのギターと同じ、マーティンO-18だ。


 もちろん、ギターだけがそこにあったわけではない。マーティンの持ち主もいる。その人は、十字路のまん中の銅像の下で、あぐらをかいている。


 マーティンは、その人の右わきと右ひざの間に、しっくりとおさまっている。細いネックは、その人の左手が、すっぽりとにぎりこんでいる。


 その人は、マーティンのボディに顔を寄せて、弦の調律をしていた。頭には、白いニット帽をかぶっている。


 すずは、体のどこかがチリチリするように感じて、顔をしかめた。目の前のその人が、なんだか、いやだ。


 マーティンは、すずの大好きなギターだ。すずの体が大きくなったら、ぴったり似合うようになるはずなのだ。なのに、今、この人とマーティンは、なんてお似合いなんだろう。


 その人が、すずを見た。そして、にっこり笑った。その人の右手が動き出した。


 ラの音だ。すずの、走った後の心臓みたいに、速いテンポ。ギターの音色が動く。かげりのあるメロディだ。


 すずは魔法にかけられた。音の世界につかまって、体が動かなくなった。


 その人のゆるいこぶしの指先には、白いピックがにぎられている。そのこぶしが、リズミカルに動く。音が生まれてくる。


 すうっ、と、その人が息を吸って、目を閉ざした。その人の口から、音がつむがれる。呪文みたいだ。外国の言葉だ。


 十字路の四方からふいてきた風が一つに集まって、真ん中で歌う人とギターを包んだ。透明なコンサートホールだ。空気は正確にふるえて、ピアニッシモもブレスも、かんぺきに伝える。


 歌の音階が低くて、今まで気がつかなかったけれど、すずは急に発見した。その人は、女の人だ。帽子の下の髪は長そうだし、ギターのボディの上に、小さなおっぱいが乗っかっている。


 その人の声は、ギターの音と似ていた。ざらっとして、甘い。


 マーティンが、その人を使って歌っているようにも見えた。その人が、マーティンを体の一部にして、二つの声で歌っているようにも見えた。


 ギターを弾きながら歌う、という音楽は不思議だ。人とギターの境目が、とけてなくなっている。歌と心の境目も、ひどくあいまいだ。


 マーティンは、歌うように泣いている。その人の心が泣いて、両手がそれをマーティンの六本の弦に伝えて、マーティンが空洞のボディいっぱいに涙をふくらませて、音に変えて、空気の中に放つ。空気は、音の波を、すずの胸にまっすぐにぶつける。


「あっ……」


 すずの目に映る世界が、ぶわっと熱くなった。と思ったら、熱は、両方のほっぺたにこぼれ落ちた。


 人の声で歌うのをやめてからも、その人は、マーティンを歌わせ続けた。ぶるぶる、びりびりと、空気をふるわせて、おさえきれない気持ちのままに、弦をかきむしる。かすれたひびきがあがる。マーティンの鳴らす高音が、急カーブにねじれる。


 それは、ピアノでも五線譜でも表せない、とても人間らしい、ギターの歌だった。ひっそりと、でも高らかに、その人はマーティンを通して泣いていた。


 すずはふるえた。心も体もふるえた。目の前で音楽を作り出している人とギターは、二つで一つのひとりぼっちだ。悲しそうで、寂しそう。すずは、胸全体で、同じ悲しみや寂しさを感じている。


 歌を始めたときと同じように、急に、その人は目を開けて、手を止めた。


「ご静聴ありがとう、おじょうちゃん」


 歌っているときと同じ、ざらっとして低くて甘い声で、その人は言った。すずはあわてて、手の甲で顔をぬぐった。その人は、クスッと笑った。


「おじょうちゃん、泣いてたのかい?」

「泣いてたよ。悪い?」

「いや。悪くないさ」


 男みたいな言葉づかいだ。この人、何歳だろう? 小学生寄はずっと年上だけれど、たぶん、まだ大人ではない。


「あたしが泣いたのは、あなたのマーティンが泣いてたからよ」

「おじょうちゃんなのに、このギターのことを知ってるのか」


「知ってる。あたしのギターもマーティンだから。マーティンO-18よ。それと、おじょうちゃんはやめて。あたしは、すず」


 おねえさんは少しだけ目を見張って、さっきよりも深くほほえんだ。


「わかったよ。おいで、ベル」


 ベル? 何それ。「すず」だから?


 すずは、心の中で反発したけれど、おねえさんのほうへ行った。ギターとバッグが重くてしかたがないせいだ。すずは、おねえさんのギターケースのそばに、自分のギターとバッグを置いた。


「寒いだろ、ベル。それを羽織りな」


 おねえさんは、ギターケースの上にたたんである布を指差した。くすんだ青色の布だ。言われてみれば、少し寒い。すずは、おねえさんの顔と布を見比べた。


「借ります」


 布を広げると、象の行列のもようがあった。すずは、マントのように布を体に巻きつけて、おねえさんの向かいにしゃがんだ。


 おねえさんの右手が、さらりとギターの弦をなでる。イ短調の和音だ。それから、ト長調、ニ長調、ホ長調。吐息みたいな声が、さっきと同じ歌をつむぐ。呪文っぽい、外国の言葉。何度もくり返されるフレーズは、すずも覚えてしまった。


 ほゎ、まいギター、じぇぬぃ、うぃー……。


「知ってる曲だった?」


 歌が止まる。止めないで、と、すずは思う。


「今、覚えただけ。何て言ってる歌? ギター、っていうのしか、わかんない。ギターが泣いてるみたいに聞こえる」

「ああ、それはとても正しいよ」


「どこの国の言葉?」

「イギリス」

「えっと、英語ってこと?」


 おねえさんは、うなずきながら何か言った。英語の言葉なのだろう。きっと「正解」という意味の。そして、日本語ではない発音で「ベル」と呼んだ。


「こんな時間に、こんな場所をうろついちゃいけない。危険だ」

「わかってる。でも、今夜は冒険だから」

「へえ。冒険」

「ルールを決めておいたの。ママが忘れ物をした数が百になったら、あたしは冒険に出るんだって」


 ママはいそがしいから、よく、すずとの約束を忘れてしまう。今度の外食はハンバーグのお店と言ったのに、違うお店だったこと。日曜日には本屋さんに行こうと言ったのに、覚えていなかったこと。


「百回も忘れられちゃったんだ?」

「そう。昨日、ママは前髪を切ってくれる約束を忘れたの」

「冒険記念日、おめでとう」

「ありがとう」

「でも、夜の町は、こわいんだよ」

「平気。ギターがあるから、一人じゃないもん」


 おねえさんは、やれやれと言うように、頭を左右にふった。


「まだ弾けないんだろう?」


 くやしいけれど、そのとおりだ。ここを押さえたらこの音が鳴る、という「スケール」は覚えた。でも、すずの小さな体では、ギターの大きさを持てあましてしまう。


「でも、あたし、ギターが好きだよ。ギターの音は、ピアノより、ずっとずっとドキドキする。ちょっとずつ、練習もしてるの。ママがいないときにね」


 ママは、ギターが好きじゃない。かたい弦で、すずの指が傷ついてしまうのが、いやなんだって。


 だから、すずは、ママにかくれてギターをさわる。こっそりデートをするロミオとジュリエットみたいで、とってもいい感じだ。


「あと二年だよ、ベル。二年もたてば、背も伸びて、弦の押さえ方も覚えて、マーティンを弾けるようになる」

「ほんと? 大人になる前に、ギターを弾けるようになるの?」

「もちろん。わたしもまだ、大人の年齢ではない」


 おねえさんのギターは、ずいぶん使い込まれていた。涙の形をしたピックガードにも、ボディのあちこちにも、たくさんのすり傷がある。


 ギターのネックのてっぺん、かざり文字で「Martin & Co」と書かれた場所は、真一文字の傷でつぶされていた。


「この傷、何?」


 すずがたずねると、おねえさんは照れ笑いをした。


「どこにでも連れていく相棒だからね。ギターは、貴婦人みたいなピアノとは違うんだ」

「あなたもピアノを弾くの?」

「昔の話さ。ブラームスが得意だった」

「バッハ、ベートーヴェン、ブラームスの中で?」


 その三人は「三大B」と呼ばれる音楽家だ。ブラームスが得意だったなら、すずと一緒だ。ママが喜ぶから、すずは発表会ではブラームスばかり弾く。


「今は違う。最も敬愛するBのミュージシャンは、ブラームスじゃない」

「だれ?」

「ビートルズ」

「……だれ?」


「さっきの曲だよ。すすり泣くギターの歌を書いたジョージ・ハリスンは、ビートルズのギタリストだった」


 おねえさんは、遠くの空をながめるような目をした。思わず、すずはきいた。


「恋してるの? ビートルズに?」


 まん丸な目が、すずを見て、ぱちくりした。そして、おねえさんは笑った。


「そうだね、恋してる。ビートルズの中でも、いちばんひそやかな彼にね。初恋はマーティンO-18だった。いつしかマーティンへの想いは肉親の愛に変わり、同時に、今は亡きギタリスト、ジョージ・ハリスンに恋するようになった」


「ジョージ・ハリスン」


 すずは、今日はじめて聞いた外国人の名前をくり返してみた。声に出すと、その名前は、すずの口の中でくすぐったく転がった。


「あのこまやかな曲を作り、流れるようなギターを奏で、はかないガラスの声で歌う。王子さまみたいだ。彼の魅力は、それだけじゃないけどね。背伸びをしたり、思い上がったり、弱気になったり強がったり、生きざますべてが、いとおしい」

「ふぅん」


「ベルも、じきに理解するようになるよ」

「そっか。じゃあ、教えて。歌を聴かせてください。ビートルズの歌」

「日本語の歌はないよ」

「いいよ。呪文みたいで、きれいだから」


 おねえさんは、謎かけをするように言った。


「ねえ、ベル。すずをベルと呼ぶなら、資格が発生する」

「資格?」

「将来、Bの頭文字のミュージシャンになれる資格。かのビートルズと並び称されるべく、夢をいだいて歌う資格」


 ざらっと甘い声のしっぽに、ギターのひびきが重なった。



***



 シンデレラの魔法がすっかり解けてしまったころになって、すずはタクシーで家に帰った。一文字傷のマーティンをケースに入れたおねえさんは、すずがタクシーに乗るのを見届けて、地下鉄の駅の暗い階段に消えた。


 部屋に帰り着いたら、世界は、しーんとしている。魔法みたいな、夢みたいな、夜だった。


「現実だったんだよね」


 すずの手の中に、おねえさんからもらった白いピックがある。


 ギターを黒い革張りのケースに、そっと横たえた。ギターのネックを左手で支えて、ぴかぴかの「Martin & Co」のマークを、右手でなぞる。


「あなたは、あたしのマーティンO-18」


 突然、車の音が聞こえてきた。と思ったら、ぐーんと近付いてきた。ヘッドライトが、すずの部屋のカーテンを照らして止まった。


 午前二時。ママが帰ってきたのだ。


「やばいっ」


 すずのひざが、ギターケースをけった。ケースのふたが、ぐらりと揺れる。

 はさまれる! すずは、とっさに両手を引っ込めた。


 ケースが口を閉じる。バタン! マーティンのネックの先っぽが、ケースの上あごにかみつかれた。


 すずは、大急ぎでパジャマに着替えた。ねてたけど、ちょっと起きちゃった、というふりだ。大丈夫。ママが上がってくるまで、あと一分はある。


 それより、ごめんね。いたかったよね? すずは、心の中であやまりながら、ギターケースのふたを開けた。


「あっ!」


 すずは、思わず声をあげた。


 ギターのネックのてっぺん、かざり文字で「Martin & Co」と書かれた場所は、真一文字の傷でつぶされていた。



【了】



BGM:The Beatles「While My Guitar Gently Weeps」

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