美味しいパン

食卓でパンを食べる私のことを

あなたがじっと見ていたので

私もあなたをじっと見た


あなたは私の顔に手を伸ばし

頬についていたパン屑に触れると

ぱくりとそれを食べてしまった


「美味しいパンだね」


あなたは笑ってそう言って

そのまま私を見つめ続ける


私はパンの味が途端にわからなくなって

どう答えたらいいのかわからなくなって

ただただ、あなたの視線を受け止めた


食卓でパンを頬張りながら

頬に触れたあなたの指先を感じながら

私はたぶん、あなたのことを

大好きなのだろうと噛みしめる

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