嘆きの王

王は涙を流さない

王は自分を愛さない


白い階段に立ち、王は己の眼球を捧げる


国を守る為なのですか

王の耳許で呟く声に、彼は答えず目を閉じる


王は心を叫ばない

王は幸いを望まない

凍れる階段に立ち、王は己の骨を捧げる


誰を守る為なのですか

王の首筋に呟く声に、彼は答えず口を閉ざす


崩れ落ちる王の身体に、雪が舞う

溶け落ちる王の身体に、雪が積もる


王はもう嘆かない

捧げた身体は語らない

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