ムーンサルトダンク!

渡來 成世

第一部 小学生編

アバンタイトル

 MoonSaltoDunk  ~ムーンサルトダンク!~


 西暦2107年。

 宇宙へ進出した人類は、月面に都市を建設し生活していた。


 約1500km²にも及ぶ広大な敷地に建てられた、ドーム型のコロニー。

 その中にはたくさんのビルや家屋、木々や湖などが存在し、道路や鉄道の整備はもちろん、病院や学校など地球上に見られるあらゆる施設が存在し、多くの人々が生活をしていた。


 ドームの天井には隙間なくスクリーンが張り巡らされ、そこに映し出された擬似的な空によって昼と夜とが作られる。

 まさに低重力・・・という1点を除いては、地球上で生活するのとほとんど変わらない環境。


 そう――ここは地球を飛び出した人類が、新たなフロンティアを開拓し生活する夢のような世界。 

 そして今、《月》という地球の6分の1しか重力がない小さなこの星で、大流行しているスポーツがあった。


 それは、月面バスケットボール――通称〝ルナバスケ〟


 地球ではありえないほどに高く舞い上がるボール。

 バスケットゴールを飛び越えるほどの跳躍力を見せる選手たち。

 長い滞空時間を生かした息詰まる空中戦。

 アクロバティックでド派手なシュート技の数々。


 そんなルナバスケのプロ選手たちによる圧倒的なプレーの数々は、宇宙を越えて世界中の人々を魅了していた。

 そんな中、ここにもプロプレーヤーに憧れてルナバスケを始める少年が1人――いや、2人いた。


 これから始まるのは、地球に住む幼い兄弟が月面バスケを始め、仲間と出会い成長していく、そんなお話。

 これは、月で人間がスポーツをするようになった時代の物語。

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