meaningless

「旬ー。エントリーシート書いたんやけど、見てくれん?」

 同期の透が人懐っこい笑顔で言う。

「んー、うまくまとまってるけど、ここに入りたいっていう熱意は伝わらんかもなあ。」

「まじか。もっかい書いてみるわー。」と透。


 二日経って、透がまた笑う。

「なあなあ、俺エントリーシート書いたんやけど、見てくれん?」

 二日前と同じエントリーシートが、一枚。

「これ、どっか書き直した?」

「ん?あれ?俺旬に一回見せたっけ?」


 透は。欲しい言葉以外受け入れられない。そんなやつ。

 きっと、透が欲しいのは誰かからの「承認」で。


 何週間かしてまた透が言う。

「俺、新しいとこ受けるんやけどさ、エントリーシート見てくれん?」

 

 俺は、エントリーシートにさほど目を通さずに言う。

「お、いいんちゃう?」

「…!せやんな!ありがとう!」


 透が前に進むために後押ししてやったんだ、と得意げになる俺も俺で。


 俺たちって馬鹿馬鹿しくて、浅はかだよな。

 なんて、透には届かないから代わりに頑張れよとだけ一言。


 俺たちの間には、笑えるくらい何もない。

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