否定、形容詞。
細萱千夏
unconvinced
一缶、百数十円の缶コーヒーを躊躇う。あの人が見た目によらず好きだった、少し甘めの缶コーヒー。
キスだけ交わしたあの人は、いつの間にか誰かのものになった。
人生、そんなもの、と苦笑い。
特に求めていない人程くだらない連絡をくれる。私の相談は「大変だね」で流すくせに、私が無視すると不機嫌になる人たち。
結局文句も言わずに、優しい言葉を並べて返す。
人生、なんて、この程度。
涙が出るほどうまくいかないけれど、涙を表出できるところもない。
「大丈夫だよ」と笑えば、あっという間に新作のリップの話になった。
(人生、きっと、こんなもの。)笑ってみたのに、泣いていた。
自分ひとりで妥協してみても、本当は。
それでもきっと飲み込んで、悔しいほどにこんな人生。
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