猫太郎2

全員+専属スタイリストの長谷川秀春


カランカラン お洒落で個性的なドアの飾りが揺れる、中途半端に異国の雰囲気があり、しかし確実に日本でもある、そういう不思議な建物、長谷川秀春のスタジオ。

開いたドアからは次々と失楽園メンバーが入り込む。


舞台のような広い空間に無数のマネキン、切られた布、針が落ちている、鋏も。奥の方にはテーブルの上に座りながら布を切る長谷川がいた。


君「ヒデさーん!失楽園でーす!来ましたー!」


秀「ん!?おーいこっち!布踏まないように来てくれ!」


踏まないように。

今井「、っし、」

明「今日はまたっ、随分、散らかってっ、んなあ」

星野「、んしょ、‥‥君、ぬいぐるみ持ったままで大丈夫?」ニヤ

君「‥‥大丈夫っ!!、っ、あっえうわあっ」

何とか渡りきったものの布のない所で君は転んだ。いつかのようにお尻を打った。


星野「‥ほらね」

君「んー!いてー、お嫁にいけなくなる〜‥」

秀「大丈夫だー、俺と酒飲んで暮らそーな」

君「ヒデさん〜‥‥」

今井「‥‥そこじゃねえだろ」

秀「いっひっひ、まあ、いらっしゃい!試着して欲しいんだけど、その前に〜、それなに?」


長谷川は君の猫太郎を指さした。

君はよくぞ聞きましたとばかりに

片方の猫太郎を差し出した。


君「ヒデさん見て!これ俺のキャラクターの猫太郎!!」

秀「ひゃあ〜、ほうほう、で‥

君「これを失楽園の公式キャラクターにしたいんだ!」


星野「‥‥‥‥だそうです」


長谷川は猫太郎をまじまじと見た。


秀「‥‥別に‥‥、俺は良いと思うけど」

君「ほんと?!」

秀「けどっ!」

君「っん、な、なに」


長谷川は今井、星野、明の方を見る。

秀「んーと、見たところ、明は‥‥色、星野は形‥‥、が気に入らない、そして今井、お前はどうでもよいって思ってるだろ?」

今井「よくわかりましたね」

君「んええ!?」

君は猫太郎を抱きしめる。


秀「まずはそこを解決してからだろ?」

君「‥‥うす」

秀「んしー、じゃあお前ら座れ!猫太郎をキャラクター化するために会議&飯会〜!飯持ってくるのに時間かかるから試着しとってくれや!」

長谷川はテーブルを片付ける。椅子はあちらこちらに一応テーブルを囲むようにあり、みな好きな所に荷物を置き、自分の衣装を見る。


今井「‥‥これ、おもしれえな」

今井はマネキンの顔をまじまじと見る、実はこのマネキン、マネキンとは言えない。

星野「‥‥‥‥‥‥球体関節人形」

なのである。しかも顔が本人達によく似てる。

君「(凝ってるなあ)」

明「‥‥着よ」

めんどくさいので簡潔に言うと衣装はばっちりでした。





秀「‥‥よし、準備OKだ、わるいなあ、こんなもんしかねえけど」

テーブルには、人数分のオムライス、ソースが三つ(カレーソース、ケチャップソース、マヨネーズ系のソース)、赤ワイン、サラダがあった。

今井「‥‥‥‥ばっちりじゃないすか」

星野「‥‥相変わらず手際がいいし、お上手で」

秀「いっひっひ、褒めても酒しかでんよ」

長谷川はワインを出した。

君「でた!」

明「っははは」


秀「まーず、お酒飲んで落ち着いて、食べて話そう」

長谷川はみんなのグラスに酒を注ぐ。

秀「‥‥よし。じゃあ、猫太郎の色な、流石に俺もペパーミントはやばいと思うのよ」


明「‥‥あれはダメだろ」


君「むー‥‥」


星野「‥‥無難に白で良いんじゃない、あとふわふわ」


今井「‥‥‥‥」アムアム


君「じゃあ‥白で、ふわふわ」


秀「ほんじゃ、色はいいだろ、次は形だ」


星野「あのさあ、ダックスフンドみたいじゃない、それ」


明「そのあたりは君の画力不足だろ」


君「厳しーなあ!んぎー、あっ、じゃあヒデさん描いてよ猫太郎!」

秀「俺!?」

星野「‥‥ヒデさん、上手じゃないですか」サインペンサッ

秀「‥‥‥‥うん」ッキュポン

君・明「(典型的な褒められると弱い人だ)」

今井「‥‥‥‥」ゴクンゴクン


秀「できた」


「「「おおー」」」

綺麗な猫太郎が紙にはいた。

明「綺麗にスッキリさせるよな」

君「猫太郎だあ」

星野「‥‥こっちの方が良いよ」

君「じゃあ‥‥、公式、なった!?」

星野「‥‥‥‥グッズ考えようか」

君「やった!やった!!ありがとー!ありがとうございますヒデさん〜!」

秀「っひひ、いいよいいよ、そのぶん仕事ちょうだいね」

君は長谷川のグラスにワインを注いで、猫太郎を抱きしめて跳ねた。そしてもう片方の猫太郎を探す、が、


君「あれ、ない、猫太郎が一匹いないよ!」

君は立ち上がる。

星野「‥‥‥‥ああ、それなら、今井くんがお地蔵さんになったから一匹あげたよ」

明「お地蔵さんタイム」

今井は無言で渡された猫太郎を小脇に抱えてぼーっとしていた。

君「うわあ、‥‥‥‥そうだ、今のうちに猫太郎で洗脳しようかな」

星野「‥‥‥‥こらこら」



猫太郎は失楽園公式キャラクターになった。ツアーグッズには毎回衣装の違う猫太郎のストラップが出た。

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