砂糖抜きで語る我らがバレンタイン

ザ・にゃんこ

プロローグ

 俺はバレンタインにチョコなんて貰った試しが無い。


 俺は俺自身の姿こそが素直で純白で全くあるべき姿だと思っているが、人は俺のことを世情に反してひねくれた真っ黒な奴だと評価する。実際それはマジョリティの意見である。


 俺がチョコを貰えるなんて考える方がおかしい。


 だから俺なんかにしつこく話しかけてくるこの艶やかな黒髪の女の頭は、どこか狂っていると考えて間違いなかろう。


 俺が女に付きまとわれるなんて、考える方がおかし……かったんだが。


 それ以上におかしなことを経験してしまっては、現状を認めざるを得まい。


 これは俺が頭のおかしい女に付きまとわれて参っちまった様子を描いた、会話形式(ただし女が俺に話しかけるだけで俺は一言も返さない)の物語である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る