第21話 普通の大学生と朝比奈久遠

 普通の大学生とはなにか。今日も私はこんな事を考えていた、普通とはそもそも誰が決めた普通なのか。そして普通とは第三者が判断するものであり、自ら判断するものではないのではないか。そんな事を考えながらコーヒーを飲んでいた。まず普通の大学生は普通の成績を取るものである。つまり単位を落とさなければ良いのだ。その点で言ったら私は普通の大学生に分類される。さて他に普通の大学生の定義になりそうなものはないか。そうだ、普通の大学生はおしゃれなカフェに行くものだ。そこでパンケーキなどを食べるのではないか。と私は考えた。この点もパンケーキこそないものの私は今喫茶店でコーヒーを飲んでいるから、普通の大学生に分類されるなと考えた。他はどうだろうか。大学生と言えばやはりサークルだろうか。サークルならば私は加入しているので、この点でも普通の大学生であると言えるだろう。残りわずかになってきたが、大学生らしさとはファッションだ。しかしこれも私は服が好きでジャケットは30着以上持っている。なのでこの点でも私は普通の大学生と言える。堂々巡りをしながら普通とは。普通の大学生とはなにか。と考えてみたが結局自分が1番普通の大学生なのではないかとの解に辿り着くまでコーヒー2杯分の時間がかかった。結論を言ってしまえばなんともくだらない発想と結論であるが、普通とは何事においても難しいものなのである。例えば普通の人生とはなにか?と問いかけた時にすぐに答えられる人は極少数であろう。それと同じく普通の大学生とはなにか?と考えた時にすぐに答えはでないのである。普通とは簡単なようで究極的に難しいことなのである。現状維持が1番難しい。人生は下に傾くか、上に上がるかのどちらかなのである。私は上に上がるか現状維持ならいいという考えを持っていたが、今回の普通の大学生とはなにか?で得た解を元に考えると、それはとてつもなく難しいことなのだな。と痛感した。少なくともコーヒー2杯分の価値はある結論だな。と思い少し気分が良くなった男は喫茶店から出ることにした。

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