第11話 真実
シーナと喧嘩した。
今までにないほどの大喧嘩。
でも全部シーナが悪いの。
きっかけは一緒に小鳥を見ようと誘ったのに、それを嫌がったこと。
外と中とを隔てるものの前まで来て、ほらって言いながら振り向いたら、シーナはかくれんぼ。
私がしたいのはかくれんぼじゃないの。せっかく小鳥が遊びに来ているのに。なんでそんなこともわからないのかな。
「ねえ!シーナ早く!!」
声をかけても出てこない。
私はイライラして足踏みをした。足踏みを止めると物音ひとつしない。
なんで?どうして?シーナのくせに。
元いた場所に戻り、シーナに向き直ると、シーナもなぜか怒っていた。怒る理由なんて、シーナにはないでしょ。
謝ってこないし、そもそも喋れないので本当の気持ちが聞けない。
そんなこと何年も一緒にいるんだからよく分かってる。今まで大したことなかったじゃない。
それなのに、
「なんで怒ってるのか喋らなきゃわからない!!」
言っちゃいけない言葉だったと思う。
でも、その事にも気づかない。
私は机の上にあったスタンドを手にとって、怒り任せに投げつけていた。シーナ目掛けて。
バリーンッッ!!!
大きな物音で、私は我にかえった。
そして、気づいてしまう。
「あ…鏡が…………」
鏡がバラバラと割れ落ちた。
当たって割れたスタンドの電球と混ざり合い、床に散らばる。
そこにはもう、誰もいなかった。
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