閑話:アイディア帳と、思考の経緯の記録

作品を作る前ではなく、

作っている最中の「アイディア」について少し書いておきます。



企画プロットまで作っていくと、作者自身の中に大量のアイディアが浮かんでは消えることがあります。

・主人公はきっと、こんな武器を使うだろう。

・ヒロインはきっとこんな仕草をして、主人公とこんな話をするに違いない。

・マスコットキャラクターはこんなのが良いな。

といったものです。

これは良い傾向だそうで「ハリウッドリライティングバイブル」なんかでは、むしろそういった状態になるまで練り込むことが推奨されています。

作品のイメージが固まりつつあるという事なので。


ですが、企画プロット段階では大枠を簡単に決めている段階なので、浮かんだアイディアを書き込むことはありません。むしろ邪魔なものとして切り捨てて、重要なものを抽出することを目的としているくらいです。

この工程表は基本的に「作者自身が作品の面白さと軸を理解する」ことを念頭に置いていますので仕方のないことですが。


なので、そうした有象無象の海のものか山のものか、味噌なのかクソなのか分からないものを、一旦どこかへ保管しておく必要が出てきます。

それが「アイディア帳」です。


……とまあ、ドヤ顔で言うことでもないので、僕が気をつけていることを幾つか書いておきます。

参考にしてもらえれば幸いです。




アイディア帳自体は、

メモ帳でもスマホのメモ機能でも単語帳でも何でも良いのですが(僕はポメラやPCのメモ帳に残してます)、


僕の場合は必ず「日付」を記録した上で「分類」。

また「疑問」と「それに対する思考内容」そして「結論」というメモも作ります。



「日付」は、

プロット作成していく過程で使えなくなるアイディアというものが出てきます。

その際、「このアイディアはあの時考えたものだから、今固まっているプロットにはそぐわないから使えないな」という判断をするためです。


「分類」は、

いざプロットを書いている段階で行き詰まった時に、過去のアイディアを参考にすることがあります。その際に、分類がされていなければ膨大なアイディアメモに埋もれて目的のメモが見つからないからです。

最低限「世界設定」「キャラ設定」「ストーリー構成」の分類をしないと死にます。


また僕は、物語設計上で行き詰まった際にはPCのメモ帳などにタイピングしながら思考します。


「疑問」を呈するかたちで自分に文章で問いかけ、

それに対して「応答」するかたちで、思考を積み重ねていくようなイメージです。

対話形式のアウトプットとインプットを繰り返すことで、凡才でも思考を膨らませやすくなります。

また、この「思考の経緯」が文章として残るので、

「あの設定はどうしてこう決めたのだろう?」

「ここのストーリー展開は何らかの理由があったのだろうか?」

と、忘れてしまった時、疑問に思った時に思考の経緯を再確認することが出来ます。

そうすれば同じ問題で何度も悩むことを減らせますし、結論の出ない答えを放置しておいても、いつかまた考える時にセーブポイントから思考を再開できます。


ちなみに、このメモにこそ「日付」と「分類」が必須です。

それこそ小説一冊分以上のメモが溜まりますので。


こういった「アイディア帳」「思考の経緯メモ」は、

企画プロットの細かい部分を決める際にも役に立ちますし、実際の執筆の際にも使えることが多々有りますので、

才能が貧しい僕は貧乏くさく全て取っておいてあります。



あと、注意点として。

このアイディアメモは「使えるかどうか分からない」という前提で取っておいてください。

「このアイディアは使える!」と勝手に判断するのは厳禁です。

ほとんどの場合、それは勘違いです。使えません。

アイディアメモを優先してプロット構築をすると、とんでもない癌を抱えることがあります。天才であればその辺りも上手く処理するのでしょうが、僕の場合は酷いことになるので、プロット工程表を進める際に行き詰まった時にだけ「アイディアメモ」を参考にすることにしています。





ちなみに、このやり方は冲方丁先生の創作指南書にある「種書き」「骨書き」あたりを参考に加工して使っています。

ですが、冲方先生のものはもっと別の意味もあるので興味があれば読んでみてください。



⚫︎参考元

[冲方式]ストーリー創作塾:冲方丁(※敬称略)

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