閑話:「テーマ」と小説の構成要素

書き忘れていたので、

この執筆工程表における「テーマ」という存在の捉え方と、

小説がどういった要素で構成されているのかをまとめておきます。

あくまでこれは僕が採用している捉え方ですので、これが正解とは主張しません。

ただ、この執筆工程表は、前提としてこの考え方の下で作られています。




●小説の構成要素


大きく分けて3つ

「ストーリー(物語)」「キャラクター(登場人物)」「世界観」

で構成されているという考え方を採用しています。


また、この三つの構成要素は互いに影響を及ぼし合っています。

三つの点からなる三角形を思い浮かべてください。

それぞれの点の位置に「ストーリー」「キャラ」「世界観」が存在します。

それぞれの点が伸ばした二辺によって、お互いに影響を及ぼし合っているわけです。

そして、

互いに影響を及ぼし合う以上「順番に一つずつ作る」という手段は取れません。


「ストーリー」を少し作ったら「キャラ」に影響を及ぼす内容をまとめ、

「キャラ」の内容に変化が生じれば、「世界観」にも変化が生まれます。

「世界観」に変化が生まれれば、「ストーリー」の幅や方向性が広がったり制限されます。


故に、三つの要素をぐるぐると円を描くように、順番に作っていきます。

この工程表はその考え方のもと決められたものです。


ですが、ぐるぐると回る三角形は、独楽コマとなってどこかへ吹き飛んでしまうものです。

中心にピンを打って、物語が吹き飛ばないように回転させる必要があります。

つまり小説を作る際に全ての指針となるもの。

それを僕は【テーマ】と定義しています。




●テーマについて


「テーマとは何か?」と問えば、辞書は「主題」だと答えます。

評論家に「この小説のテーマは?」と聞けば、

「この物語は戦争における無常さをテーマにした傑作」などと表現したりします。


ですが小説を作る側としては、そういった観念的なことを言われても困ります。

(僕は困ります。才能に乏しいんですかね?)

そもそも「テーマ」は否応なしに小説すべてに影響を及ぼします。

なのにテーマの答えがフワッとしていたら、

「このストーリーはテーマに沿っているだろうか」と判断できません。



故に【テーマ】は、

わかりやすい明確な一言で表せるものにした方が無難と考えます。



そういった理由で僕は

「テーマとは【作者がその小説を通じて行いたいこと】である」という考え方を採用しています。

小説の中ではなく、「小説」という道具を使って現実世界に引き起こしたい何か、という意味です。

(他に魅力的な捉え方があるのであれば、皆様はそれを優先してください)



例えば「姉たる千隼と鬼憑きの姉妹」を書くときのテーマは、


「変態シスコンレズお姉に読者を惚れさせてやる」

「読んだ奴全員に変態姉妹百合の性癖を植え付けてやる」


というものでした。(実際には、また別の要素も入れていたのですが割愛します)

故に、主人公の千隼は

「折れず曲がらずよく斬れて錆びることのない変態お姉ちゃん」

として設計しました。

彼女は「ゴールへたどり着く方法」は試行錯誤しますが、「ゴールそのもの」を疑うことはありません。それを悩むのは飛鳥や椛や幸の役目です。



テーマを自分で説明する作家は少ないので、僕自身のものを取り上げましたが、

テーマに関しては「物語を作る上での絶対普遍唯一の目的」として一つなにか設定しておく事をおススメします。

それが

「人外百合くっそ萌えるわ~。この素晴らしさを広めよう」でも、

「読者を驚かしてえ。一生残るトラウマを植え付けたい」でも、

「俺はこの蒸気文明が支配した世界を完璧に描きたいんだ」でも、

何でもかまいません。

軸がぶれない方が、読者も作品を理解しやすく、楽しむのが容易なはずなので。


無論、大前提として「読者を楽しませる」という極大テーマがあるので、

楽しませる方法としての「テーマ」を決めるべきかと思います。



(何度も言いますが、これは個人の考えなので、

 他に良い考え方があればそちらを採用してくださいね)




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る