第14話 王と黒眼の双子
王様の名前はダール・システンシアというらしい。見た目は、ほとんど白髪になっているが茶髪とわかり、眼も茶色である。6〜70歳くらいだ。
「どれ、この子達かの?」
そう言って顔を覗き込んで来た。
「なるほど、誠に黒い眼じゃな」
(眼が黒いとなんかあるのか?)
アランは、眼を始めて開けたときのことを思い出した。
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何気なく眼を開けると、
「あ!アランが眼を開けたよ」
「本当だ!お父さん達呼んでくる」
と言ってアーティは扉から出て行った。
(まだちょっとぼやけてよく見えないな)
と呑気なことを考えていると、ユリウスとアリスが入ってきた。
「お父さん!アランの眼ね、黒かったよ」
リズが、何気なく言うと、
「なに!それは凄い!」
いきなりユリウスが声を上げた。
「お父さん、どうしたの?」
「そうか、アーティ達は知らなかったな」
ユリウスの話によると、ウェールト言い伝えで黒眼の子は、強い力を持って生まれてくるらしい。しかし、非常に数が少なく今、黒眼なのが今の勇者だけらしい。
「あ!お父さん、エリンも黒眼だよ?」
今、眼を開けたエリンも黒眼だったらしい、
「2人揃って黒眼か!」
言い伝えの補足で、双子の黒眼の場合更に強い力を持つらしい。
「そうだ、グィーノ」
「はい」
「連絡を、わかっているな?」
「もちろんです」
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『そうなんですね』
(ああ、あの時は強いと言われてもよくわかんなかったからな)
すると王が、
「なるほど、この2人も勇者と同等の力を持っているのじゃな」
(は?)
「そうですね。黒眼は、代々勇者、又は勇者と同等の力を持っていた、と言う言い伝えがありますから」
(なんだって?勇者と同等の力か...凄いな)
「続きはお茶でも飲みながらしましょう」
と、ユリウスと王が出ていった。
(凄いですね!勇者と同等なんて!)
アワリティアが若干興奮しながら言った。
(まあ、そうだな。だが、若干面倒くさくなったな)
(何で?)
エリンの問い掛けに、
『侯爵の子供で勇者と同等の力を持っている、と知れたら素晴らしいくらい厄介になるでしょう』
(自由に行動出来なくなったり、攫われて殺されたりするかもしれない。どっちにしろ自由に食事が出来なくなるだろうな)
(えー!大変だ!何とかしなきゃ!)
急に興奮しだしたエリンに
『まあ、ユリウスと王がその情報を漏らさなければ大丈夫でしょう。』
(そうだな、そこはどうしようもないな。しかも、警備とかも十分だろう。グィーノ1人でも中々強いだろうし)
あと、使用人の会話から魔法具を使って家の周りに結界が張ってあるらしい。
(とりあえず、今この事を考えても仕方ないさ)
そう言って特訓を開始した。
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お茶を飲みながら王が、
「あの2人は、情報が漏れたらかなり厄介な事になりそうじゃな。城にいた方が安全じゃがあの2人を預ける気はないであろう?」
「当たり前ですよ」
ユリウスは即答した。
その答えに満足そうに笑いながら、
「そう言うと思ったぞ」
「もし攫われたりしたら...」
「そいつは馬鹿かユリウスに勝てる自信がある奴じゃな。しかも、あやつも絶対に関わってくるし」
「それもそうですね。そうなったら、全部解決するでしょう」
「まあ、できる限りの支援はするぞ。出来ることがあったら言ってくれ」
「はい、ありがとうございます」
このあとしばらく談笑してから、王は帰って行った。
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