第12話 昔話と二つ名
起きると昼前だった。
「今日は、おじいちゃん達と食べるか」
いきなりパルフ達が来て、前のような感じで連れて行かれた。いきなりで戸惑っていると。
「何だかんだ、アランとエリンと触れ合ってないんだよな」
「そうですね、明後日には帰らなければいけないですし今日くらいは一緒に過ごしましょう」
そのまま、昼食になった。
今日のメニューは、麦で作った粥のようなものだった。
(うーん、米で作ったやつの方がいいな、まず米はあるのか?どう思うエリン?)
エリンの方を見ると、一心不乱に、自分で食べている。
(......美味しい)
(...そうか)
すると
『この世界には、米のほか、地球にある植物はほとんどあるみたいです』
その言葉にアランは、
(なに!本当か!そうしたらアレも食えるのか)
アランは、自分がその料理を自分で出せるかも知れないのを、完全に忘れていた。
(私も、アラン兄が作った料理食べたいなー)
食べるのを止めて、食いついてきた。
(そんなに美味しいんですか?)
念話で聞いてくるアワリティアに、
(美味しい!よくわかんないけど美味しいんだよ!)
(そこまでですか、私も食べたいですね)
(私も食べたいよー)
(そうだな、作れるようになったらな)
その言葉に、アワリティアとグラピウスはエリンに料理について話し始めた。
食事に手をつけないエリンに、パルフとカルテリアが食事を切り上げた。
そして、連れて行かれたのは客間のような部屋だった。
「そうだなぁ、何をしようか?」
「そうですね」
2人が悩んでいると、リーベがやって来た。
「どうかなさいましたか?」
「それがな、アランとアワリティアとの過ごし方を考えていたところだ」
すると、リーベが、
「本を読んで聞かせるなどしたらいかがでしょうか?何なら、自分の本では?」
「そうか、アラン達は成長も早いみたいだし読み聞かせでもやるか」
(自分の本には、一切触れなかったな)
疑問を残したが気にしないようにした。読み聞かせの内容は絵本で、竜の話や、魔女、勇者と魔王の話など様々だった。
絵本も読み終わった後、カルテリアが、少し意地悪そうに、
「自分の本は、読まないのですか?」
「いや、自分で話す。あんな曲げた内容は話せない。昔話みたいなもんだしな」
「そうですね、あんなに恥ずかしいの聞かせられないですね」
「そうだな、どこから話そうか」
その後聞いた話はすごかった。
「生まれて、物事物心ついたときから魔獣とかと戦ってたな」
「そして、冒険者になってCランクまで上げた」
「しばらくして、面白いやつと知り合ったんだ。当初、同じ年齢で一番強かった。それが、ユリウスの父親、アラン達のもう1人のおじいちゃん、ディナトだ」
「2人で依頼をこなしていたら、色々あってカルテリアとフェリア、アラン達のおばあちゃんに会ってパーティーを組んだ」
「その後、魔王とか倒して色々功績が付いてな、二つ名で呼ばれる様になったわけだよ。俺が《剣神》、カルテリアが《魔導師》、フェリアが《聖女》、ディナトが《勇者》だな」
途中はかなり省いたが、すごかった。
(すげー!魔王倒したのか!てか身内が勇者かよ)
『こんなに、優秀な家系だったんですね』
(これじゃあ貴族の位も高いかも知れないな)
貴族の位が高いと色々厄介な感じがする。
(話を聞くところ功績で成り上がった感じだし。古参な貴族とかがあまり良く無い顔をしているかも知れない。しかし、厄介な事もこんな強い家系だと無いよな?)
このとき、フラグを立てたことにアランはまだ気づいていない。
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