第40話 新たなターゲット?


「ぷは~~~最高だわ~~~! 心身ともに癒されるわ」


 由華は並々と満たされた湯に浸かって、思わず声を漏らしてしまう。


 形の良い乳を揺らして声を上げる由華を眺めつつ、スバルもそれに賛同した。


「そうだな。風呂は体の汚れや疲れを癒してくれるし、由華の女らしい身体は心も眼も癒してくれるし、最高だよな」


 どうやら、スバルと由華の最高には少し差があるようだ。

 ただ、それは別の意味での癒しであって、きっとその先には体力の消費による疲れが待っているだろう。


 そんなエッチなことしか考えていないスバルを見て、由華は少し恥ずかしそうに声を漏らした。


「あんまりジロジロ見られると恥ずかしい......男の人とお風呂に入るなんて初めてだから......」


「何言ってるんだ。もう、どこもかしこも視られてるんだ。今更だろ?」


 スバルはそう言うと、今更以て恥ずかしがる由華の胸に手を伸ばす。


「うっ! だ、だって......明るいし......それに、うはっ! す、すごい......一段と......」


 スバルの手で優しく胸を撫でられる由華は意味のない言葉を口にするが、隣に座る彼のビッグマグナムを見て息を呑む。


 それもそのはず。若さ溢れるだけあって、スバルのビッグマグナムはピサの斜塔のように傾く事は無く、まるで東京スカイツリーのようにそびえ立っていたからだ。


「ん? 豆鉄砲だったんじゃないのか?」


 思わず食い入るようにスバルのビッグマグナムを見詰める由華へ、スバルは以前彼女が口にした言葉を持ち出して揶揄やゆする。


「あ、うっ、ご、ごめんなさい......こ、子供だったのよ......あの頃は」


 確かに、遣ることをやって大人への一歩を踏み出したのだが、未だ子供であることには変わりない。いや、前よりも悪い子になっていることは間違いないだろう。


「ふむ。じゃあ、今はどうなんだ?」


 スバルは由華の胸を攻め立てながら意地悪を始める。


「い、いまは......ビックマグナムだと思ってます......」


 由華はおずおずと答えながらスバルのビッグマグナムに手を伸ばす。


「ふむ。ほらここに座れ! それでお前が手にしたそれで、いったいどうして欲しいんだ?」


 スバルは由華を自分を向かい合うように座らせると、更に彼女の精神と身体を甚振いたぶり始める。


「あ、あう......意地悪しないで......もう、もう気持ちよくなっちゃった。 お願い、して! 欲しいの!」


 スバルに胸や下半身を執拗しつように攻められて、由華は簡単に降参してしまった。

 そう、まるで中毒患者のようにスバルのビッグマグナムを求め始めてしまったのだ。


「ふふ、いいぜ! ほらっ!」


「はうっ! あう、気持ちイイ......スバル、最高だわ! 大好き~~~!」


 という訳で、風呂場でエッチなことを始めてしまったバカップルは置いておいて、現在の状況に移ろう。


 幼気いたいけな女性店員に恐怖を植え付けたスバルは、そこで得た由華の服を持ってショッピングモール内を彷徨さまよった。

 というのも、二人は風呂のある場所を探し回ったのだ。

 そうして見つけたのは、ショッピングモール内にあるスーパー銭湯の家族風呂だった。


 それを見つけたスバルと由華は大手を振って店に入ったのだが、勿論、普通の客として入った訳ではなく、カウンターで受付をする店員を拳銃で脅しつけて入室したのは説明するまでもないことだろう。

 ただ、ここではゆっくりと休みたいと考え、スバルは帝警やガードマンに連絡したら命は無いぞとカウンターを溶かしてきたのだ。

 それを見た店員は、触らぬ神に祟りなしとばかりにカクカクと頷いていた。


 そんな訳で、のんびりの家族風呂に浸かっていた二人なのだが、飽きもせずに発情してしまったのだ。


「あ、あう、こんな格好、恥ずかしいわ。動物みたいだし、丸見えよね?」


 ――めっちゃ恥ずかしい......男の人の前でこんな格好するなんて......もうお嫁にいけない! って、スバルがお嫁にしてくれるんだよね? なら、凄く恥ずかしいけど、見られてもいいかな?


 どんどん壊れていく由華だが、そんな彼女の恥じらいにスバルは燃え上がる。


「何言ってるんだ。これが気持ちイイらしいぞ。さあ、もっとお尻を高く上げるんだ! それ!」


「あ、あう......」


 ――うひゃっ! ほ、ホントだわ。めっちゃ気持ちイイ......あぅ、ビッグマグナムがお腹の奥まで来てる......やだ、なに、これ、はう......おかしくなりそう......


 風呂の端に手を置きお尻を突き出した格好となった由華は、羞恥に身を捩ったのだが、身体を走り抜ける快感に、思わず恥ずかしさすら忘れてしまう。


 ――駄目だわ。これ、めっちゃいいかも......今度から必ずこれをして貰わなきゃ。


 こうして快感に身を震わせる由華は、更にスバルの虜となっていくのだった。







 スバルは満足げに高級料理店の椅子に座っていた。

 勿論、向かいには由華が座っているが、二人の前の皿は綺麗さっぱり無くなっていた。

 というか、その皿の有様は、まるで舐めまわしたのかと思うほど綺麗になっていた。


「由華、腹はいっぱいか?」


「そうね。デザートが欲しいけど......どうやら、注文を受け付けてくれそうにないわね」


 スバルの問いに、由華は周囲を見渡しながら答えてきた。

 なぜなら、既に客は一人もおらず、そこら中に居るのはガードマンと帝警らしき存在だけだったからだ。

 その他にもスバルによって既に沈黙させられた者達も床を埋めていたが、それは数に入れていない。


 さて、家族風呂で猿もくやというほどエッチにいそしんだ二人は、身も心もリフレッシュして次なる欲求である食べ物を求めで狩りに出ることにした。

 ところが、二人が部屋を出ようとした途端、帝警とガードマンが突入してきて、またまた大暴れを繰り広げることになった。

 結局、スバルはその連中を下階に落として、この高級料理店に遣ってきたのだ。


 そんなスバル達だが、その暴れっぷりが半端ない事から、既にこのショッピングモールからは客が逃げ出し、ガードマンと帝警がわんさかと現れたのだ。


「腹もふくれたし、そろそろ出るか」


「ぐぎゃ!」


 店を出ることを告げるスバルだったが、言葉と同時に銃声が響き渡ると、後方から男の呻き声が聞こえてきた。


 そう、物陰からスバル達を狙い撃とうとした者を、スバルが心眼を使って狙い撃ちしたのだ。

 先程からそうやって負傷者が山のように積まれていた。

 それ故に、ガードマンや帝警が踏み込めないでいたのだ。


「そうね。でも、これくらいの騒ぎで見つけて貰えるのかしら」


「あぐっ! いて~、いて~」


 由華の問いに続き、またまた呻き声が響き渡る。


 二人はそんな呻き声が響き渡っても眉一つ動かさず会話を進める。

 既に、二人にとってその呻き声は小鳥の囀り《さえず》と大差ないものとなっているのだ。


「なあ、関東に目立つ場所ってないのか? 例えばタワーとか」


「うぎゃ!」


「目立つ場所と言えば、海上帝都だけど......タワーならあるわよ。旧帝都タワーが」


「ぬぐっ!」


「お~! それだ、それ! それを倒そう」


「あぐっ!」


「それって、さすがに被害が大き過ぎない? 一般市民まで巻き添えになるんじゃ......」


「がふっ!」


 男達の呻き声を無視して、スバルはまるで棒倒しでもするかのように告げてくるのだが、由華はさすがに拙いと思ったのだろう。しかし、スバルは弾の無くなった拳銃を放り投げると、彼女の考えを否定してきた。


「地面に埋めるだけさ。時間さえ気を付ければ人的被害は大きくないだろう」


「うがっ!」


「そっか。営業時間外なら問題なさそうね」


「うあっ!」


「よし、じゃ、そこへ向かうぞ! って、遠いのか?」


「うっ!」


「ん~、ここからなら、そうでもないと思うわ。ここと同じ港町だから......ところで、あと何人くらい残ってるの? お風呂で綺麗にしたら心眼が終わっちゃって不便なのよ」


「あぐっ!」


 由華はタワーの所在地を答えると、周囲でこちらを狙っている者達の数を尋ねてくる。


「ん~百は居るぞ」


「あら、どうするの? 全員倒すには弾が足りないでしょ?」


「そんなのは簡単だ」


「あっ、そっか!」


 スバルが最後まで答えなくても、由華にはその方法が理解できたらしい。

 そんな腐りきった由華が景気よく声を掛ける。


「じゃ、いきますか」


 スバルはそんな由華へニヒルな笑みを向けると、徐に脚で床を蹴った。


「溶けろよ!」


 次の瞬間には、床が溶け出して落下が始まる。

 周囲では悲鳴が上がり、意識のない者は無言で落下していく。


 それを眺めながら、スバルは素早く由華を抱き上げると、落下する物を蹴って元の階へと戻っていく。


「さあ! 次は旧帝都タワーがターゲットだ!」


「旧帝都タワーを倒すぞ! お~~っ!」


 既に溶かす作業にも慣れたスバルは、由華を抱えたまま声を上げる。

 すると、その言葉に呼応して、既に完全に汚染された由華が景気の良い掛け声を上げるのだった。


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