6  313

 道路地図は正しい。様変わりに発刊が追い付かず、あえて更新を諦めた。時の経つ一冊に苦情は訴えを喉に留める。種田たちは線路沿いを駅へ、車両基地に阻まれる、転回、引き返し線路の向こう、車両基地が流した。無人駅を左に線路、点灯と形状古い踏切を渡る、基地と線路の中州。以前は通行を禁じた名残、他所を向いた看板は開発に乗客を呼ぶか、自動運転に負けまい、苦肉の策を講じたとみられる。かつては空き地、歩道脇の細かい粒土と左手は病院、消防署か、横に長く薄紫に灰を混ぜた色味は公を纏う。

 公園を境界に据えた。盛りあがる土塁を利用したか。しかし川は線路の南を西へ流れる、以前こちらへ伸びていたのだろう、道路地図を閉じ助手席の種田は修正を加えた。畑に、一棟が建つ。片田久吉はたまたま行き着いたと話して、自らの関与を微かも許されない、これはあなた方のためである。調べたいのでしょう?引け目、弱みがあちらの握手(あくて)に。噴火を恐れたままとも受け取れる。

「どうぞ」種田は先手を取った。腹を探る。上司という立場、同僚であれど肘を危険にさらす愚か、軸のずれは蓄積し弾けることと年月を生きて送れた先達の経験則。個人的行為を年の離れた者へ抱いた近親者を浮かべる愛と似通うこれは情であろうか、一向、幅・高さともに変化を見せない建物を種田は目測(はか)っていた。

 三分の二を灰皿へ落した頃、門に出くわす。渡り廊下を支えた柱二本の建造物、と言えばわかりやすい。あまりに、近い。イタドリの群れが我が前へ上よ、隠くす歩道に一と半車線に、迫る。

「御用の方は操作盤(panel)を押してください」庇の暗がりを降りた画面。車両ごと門中へ運ばれた。タイヤの接地面に代わるbeltを七八m、種田側から横へ引き込まれた。折り畳み、ゲージの中に並んだ。アナウンスは階数に、行く通路(みち)を促す。種田、熊田と降りる。柵の引手は熊田の側にあった、道案内が敗因である。日陰、駐車場兼エレベータ前、エレベータ中(なか)、廊下、取り去る熱の量は段階を踏む、来客への配慮もしくは農家の健やかな資本が身体のため、種田と熊田は中畑に向かう。

「右手、一番の部屋にお進みください」ぽん ぷ ろ ろぉう。

「ドアノブは手動か」熊田の呟き。刑事を明かさず、始まる。

「掛けてもらおう」断れば口のきかぬ、作り付けの棚に沸いて人形の顔を従える、出迎えた男はこちらの紹介を促すことを省き、よりも目的を告げよ、刑事たちに問うた。天板の厚みが観える、カメラはディスプレイに取り付けている、種田は映像を補完した。

 死体、不作、種。熊田の口は滑らか、真っ正直と世間ずれを合わせてひねくれた思想によく響く。

「願ってもないね。お上直々とあれば世界を取ったも同然さ」騒々しさ噛みしめて通勤の色は平常と体内は煮えくり返る、どこぞに策よ手があって。打ちひしがれて生産者や製造者の落ちた肩、農作物に工場・加工場は私の通勤は徒歩に電車内と飛び込まず。車窓が告げたとて、煙が始終上がるだろうか。部署に篭り、無駄口は熊田が片手の引き上げて止まる。種田は小首をかしげた。手の空いた助手席の役目、集めて情報をまとめたが、深手を負いながらも生存は保たれる、肉食主義者が世には前例と君臨を、europe、 argentineなど肉を主食に寿命は短く、細胞は入れ替わる。今までが恋しい、積荷(に)が重すぎるのだ。

「議事録を拝見したい」無人の室内に熊田は望みを放つ。

「撮影、板書(うつし)、所持品をその穴へ」熱源を計り窪みは生き物のよう提出をせっつき、「活かせ、代償を払うつもりで」落ちた画面へ。

 二つの誤解。一つ、私たちは対象物を引き出しを見つけ取り出す能力(ちから)を備える。二つ、未解決とさじを投げた案件である、取るに足らずと訴えは屋台骨を脅かすに値をしません、上層部が判断を下し私たち末端の隅に送られたのだ。

「座ったらどうだ」位置を入れ替え、彼女はかけた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る