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「О市署の、種田と言います」彼女は警察手帳を見せた、右の指は引継書を掲げる。「我々はI市警察の要請を受け捜査に当たる」

「警察の人とは、横柄な物言いではいやはや失礼を」半被、紫に袖口は白く縁取られ、太い線が衿にも縦は足元と伸びる。詰まった首は、息苦しさを超える日の暑さがもたらす吹き出す汗を選んだ。白く斑が短く刈られた頭に水は玉と浮く。

 ここを管理と使用を任された村の組合員と、声をかけた男は名乗った。片田久吉(かただきゅうきち)、職務質問に取り違えてか、こちらが中を伺う、不審者はこちらの方だろう。ゆだる、三十度を超えるならまだしも、昨夜は二十度を保ち朝を迎えたという、同伴する上司の熊田が車内に流すaudioより得られた、彼が口を開くはずはそう、目の前の男が嘘をつきました、本名ではありません、とっさのことで気が動転してつい父親の名を口が滑ったのです、打ち明けるほど現実味の薄い。

 赤のトタン屋根に玄関を右を空け、建物は構える。正対、目線の平らに今一度なかへ注ぐ。土間に五十㎝弱の小上がりが奥、丸々背中を読んだ。話し声を耳にした、火急ならばとっくと対面の向け、私らを見下す視線をとれる。

 熊田が名乗り、高いところからと一段下がるを制し、彼は小上がりの間中、座卓を囲むよう促した。いそいそ、より小柄な体躯が際立つ。背の高い種田が視点、他者が声に出さずいう。やめておこう、彼女は敷かれた紫色の座布団に膝を進めた。

 低くうなる駆動は冷蔵庫が主、持ち手の付いた大小二枚の扉は入り口の対角、部屋の角に位置する。ぐるり、首を回す。天井は煤か雨漏りか、黒ずみ板はここは屋内、隙間のあって光の雨の漏れてか、現役を訴える。畳は張り替えた様子であることから、雨漏り除外された。lamp 積もる埃に笠、電球との内側は白い、黒の塗装がはがれて視えた。左の後ろ、畳に添えて亀の首、室内へ入り十時の向き、通路の先はおそらく隣のsiloへ通じる。飼料の買い手がおり、現在は、この先東を行き放牧地が目に届くか。

 振るまわれたお茶を熊田は一口、言葉を続けた。丸まり、彼の対面に片田が座る。

「隔週、寄合いを開く。会合の決まりは守られていないようですね。二月に一度、いずれも書き手は片田さんがひとり。あまりに杜撰、他の方々が仕事の手を抜いたと、いうことでしょうか」

「言っていいのかな、これは」取り出すtowelが額と鼻の水滴を拾う。片田は愛想笑い、真顔へ戻る際人でも世の者でもない顔を挟む。「隠し事は苦手でしてね、頭もそれほど良くはない。だったら記録をここに、皆の判断を仰ごうじゃないかと」会合の議事録は書き手を務め、権限の得る。当番制を敷き、平等・公平を喫す。各自は回、覚えを保管する。求めを許諾、閲覧者は所有者の是非に従う。会合の決議は全会一致を採れば内容は開けずと明らか。道のりを知りたくはないのだそう、違って当然、ただいまは意見が合うのだから、長い目の悠長が善とされる、遅れた時代をここは送るらしい。

「生前、死者とあなた方は交流を持てた。いくつか記述が見て取れます」熊田は利き目を正面へ投げた。もう片方は遅れ瞼を上げる。

「一年ほど前でしょうか、はてさてどこから聞きつけたのかも」片田が言う。ふらりここへ訪れた観光客風の女性がついつい長い、暇する機を逃せ、もしや狙いであったか、ずるずる一週間が十日、十日は二十日へ、ひと月より数か月、季節は次へ移ろい彼女は町に住まうようになった。

「種」熊田はいう。「金と並び称される貴重な財産です。所有を許した経緯を聞かせてください」あけ放たれて扉は抑え枠と突きては離れ、伸びた髪が先と踊った。気の迷い、冷たく流れを熱が埋めた。「憚られる」、もとつ々結び、耳がただ聞いた。


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