第21話 行商人シスナとマゴンドラ




「へい、そこの旅の子供」





街道の途中で、

背の小さい女の子に話しかけられる。

右手に『竜を模したぬいぐるみ』をつけて口をパクパクさせて遊んでいる。



「あたしは見ての通りの行商人だよ・・・名前は『シスナ』・・・よろしくぅ」


見ての通りって、むしろ旅芸人にみえるけど・・・





「君、すごいの連れてるね・・・あたしの右手の竜『ゲルトフィロス』並みにすごいよぉ」

シスナはノワールさんの姿を見て驚く。

『ふん、ワシの真の姿の前には子猫も同然だがな・・・』



ノワ「すごいねぇシンカ、『その布と綿』が喋ったよ」

シンカ(これは腹話術って言って、口動かさず、あの子が喋ってるんだって)






シスナ「・・・・わわわわわわ・・・その猫喋った?」






クールにも驚くシスナ・・・

しまった、ノワールさんが喋るのは駄目なのだろうか・・・


シンカ「これは・・・・・・腹話術ですよ?」




・・・






$$$







「ところで、旅芸人のお客さん、何か買っていって下さいよ」






旅芸人認定されちゃったか。

並べられた商品はどれも『変わった物』ばかりのようだ。

さて、別に欲しい物なんてないけど・・・


しいて言うなら、『例の宝石』だろうか・・・いや、こんなところにあったら、それはそれでなんか嫌だな・・・




というか・・・お金もってないし・・・

※この間死体になった時に気づいたら無くなっていた





「もしかして・・・それって・・・『マゴンドラ』ですか!」

シスナの顔が輝きだす。


背中に背負う野菜・・・

そういえば、お婆さんにもらった『人面大根』だけは手元に残っていたか・・・




「お客さん、いいモノ持ってるじゃないですか、それは『誰も見つけることが出来ない秘境の村のお婆さんだけが栽培できると言われる伝説の野菜』・・・そんな『レアアイテム』を持っているなんて素晴らしい」




ん・・・これそんなにすごいモノだったのか・・・

用途もわからんし、売ってしまうかな・・・





「んーでも惜しいですね・・・そのマゴンドラの顔・・・ちょっと私の好みとズレているというか・・・」




顔?・・・

何に使うの・・・何に使うの・・・マゴンドラ




ノワ「じゃあ・・・その首だけ・・・もいでしまえば いいんじゃない?」




ノワールさんの発想がグロかった・・・




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