第13話 街に入る前に・・・




盲目のお爺さんの話





シンカはたき火を焚いて野宿していた。

ノワールさんも近くに寝そべっている。

夜は冷えるが、ノワールさんの毛並みの近くだと暖かかった。




お婆さんの情報が確かなら、明日ぐらいには街に到着するはずだ。

旅人もちらほら見かけるようになったし・・・





「旅人さん・・・混ぜてもらってもよろしいかな?」





目に包帯を巻いたお爺さんがヨタヨタと歩いてくる。

盲目なのか、枝で地面をさわりながら歩いてくる。




「ご自由に」




シンカはどちらでもよかった。

そうだ、どうせなら街の事など尋ねてみよう。

情報はいくらあっても困らない。




街に行くのは・・・やめておいた方が・・・いい・・・




お爺さんは淡々と語る。





邪神じゃ・・・邪神に・・・あの街は乗っ取られてしもうたんじゃ・・・





くわしく話を聞くが、どうにも要領を得ない。

そして、ひどく怯えていた。





翌朝には・・・お爺さんの姿はなかった・・・




シンカ「昨日の話・・・どう思う?」

ノワール「どうでもいいでしょ、人間ごときの神がどうしようがボクらの敵じゃないよ。」


そう自信満々に言う、ノワールさん

自分たちって、そんな神レベルの存在だっけ?




そんなことを思いつつ、

やはり恐怖などという感情が湧いてこないことに気づく・・・

これはとても人間っぽくないんだろうなと・・・

過去の微かな記憶から・・・そう感じるのだった。






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