第11回 なんかもうとにかく、ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるしてるマン

 れーかんにっきを書くにあたり、困っている事がある。

 それは、一つ一つのエピソードが薄っぺらい事だ。エッセイとしては致命的である。


 前回の「自転車君」は自転車に乗る人に伝えたいルールの大切さ的な話を盛り込んだ。

 自転車君は明らかに出会い頭に横っ腹を車なり大型バイクなりに突っ込まれて大きくへしゃげた自転車に乗っていた。出会い頭の事故だったのだろう。

 なので、自転車乗りとして是非とも知って欲しい事を盛り込んだのは同時に、薄い内容に厚みを持たせるための手段でもあった。


 今回紹介する話は残念ながら何も付帯させられるものがない。


 私が見た「なんかもうとにかく、ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるしてるマン(ちょっと前に考えた名称)」はとにかく、体がぐるぐるしているだけだった。


 ぐるぐるマン(略称)がいたのは、とあるキリスト教会の前だった。宗派などをいうと絞り込みが進んでしまうので申し上げたりはしない。勘弁いただきたい。

 住んでいた家の至近で、前を通らざるを得ない場所だった。


 細かくその姿を説明すると、ぐるぐるマン(略称)は黒から灰色の紐が付いた昆虫のようなものが大量に集まり、高速回転を繰り返して円筒形の形を形成していたのだ。特に音もしない。高さは大人の身長くらいだ。塀と同じくらいだから180センチくらいか。

 まぁ、あえて表現すれば、超高密度な蚊柱だ。

 ○○マンといっているのはまぁ、なんとなく人の形に見えるからである。正直、ただの円筒形で、まぁもう少し詳しく表現するとすれば、腕のないジャスタウェイ型だった。まったく、己の表現力のなさに絶望する。


 その教会には正門と庭門とも言うべき門があり、ぐるぐるマンはその庭門の外に突っ立っているか、内側にいるかのどちらかで、大体常に半径三十センチくらいの範囲をうろうろと動き回るだけで何かしてくる訳でもない。

 初めて目撃した時は本当に肝を冷やしたし、親が一緒にいたにも関わらず逃げ出すという無様を演じたが、まぁ小学校六年生くらいだったので無理からぬ事である。


 調べようがないので相変わらず正体は不明だ。ただの妄想である可能性もある。ググった所でそれらしき目撃例は無かったので、似たような物を見かけた、または正体をしっている人がいれば、是非教えていただきたい。

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