果てしなき流れの果てに

@nakazee

プロローグ

 私はいつまでここにいるのだろう? 時間と空間の永遠の牢獄。

 救援は見込めそうにない。

 光の速度で放浪する私には、銀河の光すら届かない。

 前方にぼんやりと七色に輝く巨大なスターボウ。

 それがこれからも、永遠に私が見ることになる唯一の景色だ。

 自殺を何度も考えた。

 狂気に苛まれ、途方もない絶望に押し潰されそうになる。

 でもその都度、彼のことを思い出す。

 違う宇宙と時空のどこかで、今も私と同じようにさ迷ってる彼の存在を。

 彼と共に交わした“約束”

 それが私に託された唯一の希望であり、たったひとつの道しるべだ。

 ひとつひとつ順を追って話したいと思う。

 今となってはどこに報告することもない。 航海記録と言うよりただの個人的な日記に過ぎないが、間違いなく彼が存在していた証拠として残しておきたい。

 他ならぬ私のために。

 私の名は、マリア・アンダーソン。

 アメリカ合衆国・第6次太陽系外惑星調査団、探査挺アクエリアス号のパイロット。

 彼と出会ったのは、10日前のことだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る