魔王の娘なんですが、勇者してます。
亀様仏様
第1話家出します。
皆さん初めましてこんにちわ。私の名前はセレスティアと言います。親しいお友達からはセレスと呼ばれているので、どちらでもお好きな方で呼んで下さい。
私が何故、自己紹介をしているかと言いますと私は今、家出をしているのです。家出と言いましてもつい先程城を出たばかりなので、これから本格的に家出をするつもりです。
城?あぁ言い忘れましたが、私の住んでいた家は魔王城と呼ばれています。そうです。あの魔王の住む城です。私は魔族と呼ばれる種族で、魔王の娘です。
魔族と人族は今も昔も仲が悪く今も戦争状態の最中です。魔族と言っても見た目は人族と何ら変わりは無いのですが、魔法に長け興奮すると眼の色が紅くなる事位なんですが、何故か人族の人達には不気味がられ意味嫌われています。
私は自分で言うのも何ですが全然怖く無いですよ?
話がそれてしまいましたね。家出の理由なんですが、お父さん、魔王が私の好物であるプリンを無断で食べてしまったのです。これには流石の私も怒りましたね。お父さん、魔王に文句を言ったらあの人、ごめんの一言も無いんですよ?酷いと思いませんか?
私がおやつの楽しみに取っておいたプリンを無断で食べた挙げ句謝りもしないなんて魔族を統べる王のする事では無いと思います。
なので、私は家を出る事にしました。
プリンの怨みは恐ろしいのですよ。
取りあえず、魔王城にはいたく無いので城を出たのは良いんですけど、これからどうしましょう?
一先ず道沿いに歩いている次第です。
すると、おや?あれは荷馬車でしょうか?人族の商人さんでしょうか?どうやら魔物に襲われている様です。あれは・・・コボルト(犬人族)でしょうか。護衛の方も奮戦している様ですが、見た限り形勢は不利の様に見えます。多勢に無勢でしょうか。商人さん含む護衛の方達が5人、一方コボルト達は8体。
商人さんが非武装非戦闘民と考えると数の上では8対4。丁度2倍です。コボルトも決して弱い魔物では無いので数の上で押されると大変ですね。
あっ!一人ヤられましたね。これで8対3。益々分が悪いですね。
私も丁度プリンの件でむしゃくしゃしていますし、コボルトには悪いですが、八つ当たりさせて貰いましょうか。
私は少し離れた位置からコボルトに狙いを定め手をかざし無詠唱で魔法を唱える。
「紫電」
かざした手からは紫色の電流がコボルトへと襲い掛かる。放たれた電流はコボルトを一瞬の内に焦がし、コボルトは絶命した。
一瞬の内に丸焦げにされた仲間を見た他のコボルト達は私の方へと注意を向け警戒した。
こうなるとかえって私的には都合が良いですね。
1度に葬る事が出来ますので。
コボルト達は怒りに身を任せ私目掛けて襲ってきた。
私はというと、今度は手を空へとかざし、魔法を唱えると同時にかざした手を降り下ろした。
「焔槍」
炎の槍はコボルト達を焼き貫き後に残ったのは黒い消し炭の数が7つだけだった。
たまたま偶然、襲われていた商人さんの荷馬車に遭遇し、私の腹の虫が治まらず八つ当たりされたコボルト達に合掌。
私はそのまま荷馬車の横を何事もなく通り過ぎ様としたのですが、商人さん達に止められました。
「あ、ありがとうございます!貴女様のお陰でこの命救われました!どうか何かお礼をさせて下さい。」
護衛の方々も猛烈な勢いで私に感謝の弁を述べていました。
「凄いな!君は!あのコボルト達を一瞬で倒すとは!我々も善戦したのだが如何せん数に押されて危うく全滅する所だった。本当にありがとう!」
いえいえ。寧ろあなた方が弱すぎなのでは?
コボルト程度に苦戦する程人族は弱いのでしょうか?
私は今一人族の強さを図り兼ねていました。
「本当ありがとう!貴女が助けてくれなかったら私達もキースみたいに死んでしまってかもしれない。冒険者だからその辺りは覚悟をしていたつもりだったけどいざ、そうなるとやっぱり怖いものね・・・。あぁ、ごめんなさいね。湿っぽくなっちゃって。本当助けてくれてありがとう。」
あぁ。あの一人ヤられてしまった方はキースさんと言うのですね。それはご愁傷さまでした。それと、冒険者と言っていましたが、一体冒険者とは何なのでしょうか?私は今日初めて人族にお会いしたので、人族の文化や職業については良く分かりません。
「お気に為さらず。たまたま通り掛かっただけですので、感謝される様な事は何一つ。寧ろ一人お亡くなりになってしまって・・・。それじゃあ、私はこの辺で。失礼します。」
軽く会釈をし、また道なりに宛もなく歩いて行こうとしたら、待って下さいとばかりにまた止められました。
「ちょ、ちょっと待ってくれ!君は向こうから歩いて来たのかい?向こうは魔族領なんだが、何事も無かったのかい?」
冒険者と呼ばれている中年のおじさんでしょうか。何か驚いた顔をしていますが?
「はい。そうですけど?それが何か?」
「この辺りは丁度我々人族と魔族との境界線にある領地の街道で、魔物との遭遇率も高い所なんだが。君は襲われ無かったのかい?」
「襲われ?あぁ大丈夫でしたよ。近寄って来ませんから。(私が魔王の娘なので)」
「それは凄いな!君は余程強いんだな!どうだろう?次の街までこの荷馬車を届けるのが任務なのだが、一人先程の戦闘で欠けてしまってな。君さえ良ければ次の街まで護衛を手伝って貰えないだろうか?何、報酬も渡すのでどうだろうか?」
「私からも是非貴女様にお願いしたい!貴女様の強さなら私達も安心して次の街まで荷馬車を運ぶ事が出来ます。報酬は弾むので是非私達と一緒に行って頂けないでしょうか?」
うん?何か盛大に勘違いなさっている様な気がしますが?まぁ、特に目的も無いですし私自身人族の事を知る良い機会かもしれませんね。見聞を広がりますし。
「はい。分かりました。私の方こそ宜しくお願い致します。」
「おぉ!そうか!ありがたい!」
「ありがとうございます!」
私はこの出会いが切っ掛けで勇者なんてものに祭り上げられて行くのだが、それはまだ少し先のお話。
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