この世界では強い俺も彼女たちには適わない
十六夜 遼
プロローグ:極度凍結(ディープフリーズ)
第1話目覚め
俺は目が覚めたらとある孤島?の砂浜に倒れていた。
俺という言い方は正しくないかもしれない。
なぜなら倒れていたのは二人だった。
かつそれも少女(12、3ぐらいだとおもうが)と一緒だったからである。
幸いというべきか、少女はただ気絶しているだけのようだ。
だが問題は山積みにある。
ここがどこなのか。
なぜ倒れていたのか。
どこから流れ着いたのか。
そしてこの少女は何者なのか。
何より俺は、過去の記憶がない。
「俺の名は。」
と、思わず俺は口に出して言った。
と言ってもすべての過去の記憶がないわけではない。
年齢は16で、誕生日は7/6、
家族は俺以外に2人いた……はずだ。詳しいことまでは思い出せなかった……。
俺が今、思考をめぐらせている間にも漢字が出てくるということから、知能は問題ないだろう........たぶん。
こうしている間にも時間は流れている。まずはこの状況をなんとかしよう。
とりあえずまわりの安全と水を確保しよう、と俺は思った。手持ち品は何もないが、ありがたいことに漂流物はたくさんある。
しかし俺は不器用だった。
せめて釣り竿でも作れればと思ったのだったが……。(俺は記憶上、よく釣りをしていたらしい。)
釣りは今は諦めて探索をしよう、と思った。
近くに、草原が広がっているので行ってそこの奥深くまで1人なら探索に行きたいところだが、
少女がいるのでそう自由もきかない。しょうがないので、少女をおぶって砂浜と草原の境目まで行った。
1人ならまだしも2人(1人のようなものだが)あまり動くのは良くないと思ったからだ。が、
草原をよく見ると小川があった。
もう水を飲まずにはいられなかった。
「良かった……。小川があるぞ……。」
と、俺は安堵の声をもらした。
そうおもうと、全身から力が抜けそうになったが
なんとか持ちこたえ、小川まで行き水質を確認した。
水は透き通るように透明で、魚も泳いでいる。
再度、まわりの安全を確認し少女をやさしく床におろすと、腹をこわさないことを神に祈りながら、手で水をくみ飲んだ。味は、今までに飲んだことがない程美味しく感じた。
それから30分ぐらいしただろうか。小川の水を飲んでも、今のところ身体には何一つ不調はない。さすがに、もう大丈夫だろうと思い、俺は、少女に手で水を飲ませてやった。
その時、彼女の手が微かに動いた気がした。
俺は、不意に睡魔に襲われた。抗う間も無く俺は少女に添い寝をする形で、深い眠りに落ちた。
はっと、気がついたときにはもう朝になっていた。今がいつなのか、正確な時刻はわからないが、どうやら半日近く寝てしまったらしい。
とりあえず寝ている少女の姿を確認してから、小川で顔を洗い水を飲み振り向くと
少女は目を覚ましていた。
無言のまま見つめ合う時間が10秒ぐらい続いただろうか、先に話しかけてきたのは、少女の方だった。
「あなたは、誰?」
と、困惑した様に聞いてきた。
まあ、そうなるのも無理はない。なにせ知らない場所で倒れていて(まあ、もし流れ着いてきた、という仮定の上での話だが)知らない男と2人きりという、この状況だからだ。
俺は、軽く自己紹介をしようとしたのだが。
一番最初にいうべき名前が出てこない。
「俺の名前は……。」
そこで俺は止まった。
思考錯誤して、どこぞの鳳○院○真のように偽名を使って挨拶することにしたのだが、あまりにも彼の印象が強すぎて、挨拶も厨二感偏り気味になってしまった。
「俺の名は、狂気のマッドサイエンティスt、いやゲーマー!?…………(やばい。名前が思いつかない。結局先延ばししてだけでこれじゃあ本末転倒じゃないか)」
またしてもそこで俺は止まった。
どうしよう挨拶がこのまま終わったら、やばい。
本当に変な人だと思われてしまう。
だが彼女からかえってきた反応は、予想をはるかに超えるものだった。
「フフッ、面白い。
まあ、シュ○○○○ゲートをパクったようなところ?」
予想をはるかに超えられた俺から出た言葉は簡単だった。
「お前!○○タインズ○○○を知っているのか?」
「う、うん。」
と彼女は俺の声の大きさに若干戸惑った様子で答えた。
「で、本当の名前はなんなの?」
痛いところを突かれた。
まさか、彼女が某アニメを知っているとは思いもしなかったからだ。
俺はしばらく迷ったがもう隠し通すのも無理(せいぜい30分しか経ってないが)と思い彼女に真実を伝えた。
俺の一部の記憶がないこと、
どうやらここは無人島でありそうなことなど今伝えられる限りのことを伝えた。
「なんやかんや私も覚えているのは、あなたとほぼ同じ。ただ、名前は覚えているわ。」
「なん、だと……。」
俺は口に出さずにはいられなかった。なんか、彼女に負けたような気がして悔しかったからだ。(いや、うれしくはあるのだが。)
「じゃあ、自己紹介するわ。」
「私の名前は、影野 ユウヒ(カゲノ ユウヒ)
年齢は15で、
家族は、あれ?何人だっけ……今さっきまで鮮明に、覚えてたのに……」
このとき、俺は彼女のからだを見て思った。
(こいつ、15なのかー。その割には身体が小さいな。まるで、ロリみたいじゃないか。特に胸g)
なんていうことを考えていた俺は正面からくる鉄拳に、気づかなかった。
制裁という拳を正面から受け、俺は小川にダイブした。
そして俺は起き上がりながら思った。
(あかん、これ怒らせたらいけないやつや。)
彼女は、顔を赤らめながら言った。
「どこ見てんのよ!どうせロクでもないことでも、考えてたんでしょ!」
俺は言い返した。
「まあまあ、そう怒らずに。確かに考えていたのは事実だがロクでもないことではないぞ。」
(と、誤魔化してみる)
「え、そうなの?……あ、後さっきなぐっちゃってごめん。」
と、彼女は申し訳なさそうに言った。
「まあ、こっちも注意不足だったし。」
と、俺はさりげなくフォローしといた。
「とりあえずこれからどうするか、だ。昨日の夜のように今日も無事に寝れるかわからない。」
と言い、俺たちは、まず海辺へと足を運んだ。
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