ただ、黒歴史を掘り返す

三日月 天兎

紫陽花の君

今日もいた。


降りしきる雨の中で綺麗な音を奏でる君。


君は紫陽花が好きで僕に色んな事を教えてくれたよね。


「知ってる?日本に咲いてる紫陽花って西洋紫陽花が多いの!

それは日本産の額紫陽花を改良したものなんだけど、私は額紫陽花の方が好きだなぁ。」


そう言って微かに微笑む君があまりに綺麗で、思わず見惚れてしまう。


梅雨が明ける前にこの気持ちを伝えなきゃ。


わかっているのに僕には伝える勇気がない。


もしも駄目で、この関係が壊れてしまったら?


もし君と言葉も交わせなくなってしまったら?


怖いんだ。


大好きな君を失うのが。


後戻りできなくなってしまうのが。


だから、今日も僕は君に伝えられない。


どうか、弱虫な僕を許して。

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