教室内の人形達

宇治まっちゃ

序章 「宣告」

2017年3月13日。 また新しい1日が始まろうと世の中の人々が動き出そうとする中でテレビのニュースが時事問題から速報ニュースへと変わった。

「たったいま入った速報です。 本日3月13日午前5時40分ごろ、富山県富山市の住宅で富山市内の高校に通う17歳の男子高校生が何者かによって殺害されているところを家族に発見されました。 被害者は何者かに包丁のようなもので刺されており・・・」 このニュースを聞いた人々はかわいそうに思うだけで軽く気に留める程度だっただろう。そしてまさか自分に関連のある人が殺されただなんて自分や自分の家族も思いもしなかっただろう。

だが、学校に登校するといきなり担任の有川先生が僕を呼び出し、こう言った。


「殺されたのは石橋第二高校に転校した杉中拓也君だよ。」


杉中 拓也。 僕はこの名前を一度たりとも忘れたことはなかった。


外から僅かにではあるが、パトカーのサイレンが自分の元へ近づいてきてる感覚が伝わってきた。この感触はただ通り過ぎていくのではない。じわりと自分の元へ向かってきているのだった。

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