2話 地味だけど清楚

 これからカフェに行く。

 なぜか、ぼくの服装のストックまで女物に変わっていた。よくよく考えてみると、女として生を受けているのだから、男物が置いてある方が、かえって不自然だろう。


 意外にもスカートには慣れそうだった。もっと抵抗感が残ると思っていたけれど、なぜだか気になる。それは気分的なものかもしれなく、半ば強制的に履かされる制服ではなく、私服だからむりして履く必要もないのだけど。

 いきなりスカートを履く勇気がなかったので、折衷作せっちゅうさくとしてキュロットスカートを考えた。見た目はスカートだけど、中がズボンになっているタイプだと思う。ぼくは無難に膝下丈のグレーのキュロットを選んだ。

 だけどトップスにブラウスを着れるほどの猛者もさではなく、無難に長袖のTシャツの上にパーカーを着た。


 部屋には、紺色のリュックサックと、薄い桃色のハンドバッグが置いてあることに気づいた。軽装備でいいから、ハンドバッグだろうか。少し迷ったがこの姿ならおかしくないだろう。


 洗面台の鏡を見た。少し地味だけど、清楚に見える女の子が映っていた。その目に宿る光は少しキラキラしている。服装や持ち物が控えめだけど、意外と馴染んでいるように見えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る