第15話 戦う2人

2頭の馬は目的の場所に向かって行く。アリスは慣れた手つきで馬を動かし、2人は馬から落ちないようにしがみついていた。目的の場所は歩いて行くにはかなりの距離の場所にあった。


馬がゆっくりと動き走るのをやめる。葵と瑛斗はゆっくりと馬から降りる。その間も周りからは色々な声や音が聞こえてくる。剣と剣がぶつかり合う音や時々銃声なども聞こえた。2人は馬から降りるとアリスの指示を待った。


2人の前にアリスが来る。2人は剣を抜き準備をした。


「とりあえず…適当に戦ってもいいよ。別に敵兵達刺したり撃ったりしてもいいからね。これは戦いなんだから」


真剣な眼差しで2人を見てそう言ったアリス。2人もそれを見て緊張が走る。ここまで真剣な眼差しのアリスは見た事が無かった。


「とりあえず…3人で行動しよっか」


「そうだな…俺はサバゲーやってて慣れてるから多少は動き方はわかるけど葵が何もわからないから…ね」


「うん…私怖いけど…頑張る」


「俺も足引っ張らないように頑張るよ」


3人は周りを警戒しながらも、話しながら歩いている。その場所はアリス達の国の外れにある小さな街だった。そして着いた頃にはその周辺で戦っている人が多かった。


アリスが周りにいる人にどういう状況なのかを聞いている。その話し合いが終わかりアリスは歩き出す。2人はそれに続き歩き出した。


街中を歩いていると歩いていると建物の陰から敵兵2人が出て来た。それを見て3人は戦う構えをした。幸いにもその敵兵達は銃を持っておらず剣のみだった。


「女2人の弱そうな男1人…余裕だな?行くぞ!」


敵兵2人が3人めがけて走って来た。アリスと瑛斗が前に出て葵を後ろに下げた。敵兵の1人が剣を振りかざす。アリスがそれを剣で防ぐ。金属音が響く。そしてもう1人が瑛斗に向かって来ていた。瑛斗は剣を構え防ぐ準備をした。


剣を振りかざし、ぶつかり合う音が響く。力としては互角でなかなか動かない。力を振り絞り敵兵の剣を振り払った。振り払った衝撃で敵兵の体は一旦離れる。そして再び瑛斗めがけ、来た。その時瑛斗はある言葉を思い出す。それはアリスのあの言葉。


「別に敵兵、刺したり撃ったりしていいからね」


その言葉を思い出した。剣の持ち手を強く握りある場所に狙いを定めた。


――お腹部分と頭は守られてる。腕と足をやっても1発ではなかなか死に至らない。いっても致命傷だ。守られてない部分…喉か…!


瑛斗が向かって来ている敵兵の喉部分めがけて剣先を動かす。そして止まることのできなかった敵兵の喉に瑛斗の剣が刺さる。剣は喉を貫通し、そして剣の真ん中付近まで刺さっている。声を出す事が出来ずにその敵兵は剣を抜こうとしてしていた。しかしそれも長くは続かず、だんだんと力が抜けていくように感じた。喉を貫通した剣を思い切り瑛斗は抜いた。そして敵兵のお腹付近を蹴り、倒した。


「エイト…なかなかの事するね」


一部始終を見ていたアリス。その後ろで葵がちょこっと見ていた。


「そうか?まぁ…向こうでは絶対出来ない事だからね。こうして戦えばいいのか…なんとなくわかって来たよ、アリス」


「そんな感じで大丈夫だよ。エイト、頑張ってね」


「おう!」


一通りの戦いが終わり再び街中を3人は歩み始める。葵はアリスの近くにずっとくっついていていた。アリスもそれを嫌がってはおらず、逆に喜んでいた。


警戒しつつ、3人は歩みを進める。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る