第19話 救い

 


 俺には、妹がいた。

 可愛い、妹だ。

 シスコンと言われるくらい、溺愛していた。

 いつも一緒にいた。

 というか俺が離れても妹がくっ付いてきた。

『黒髪』の、かわいいかわいい妹。

 その子は、詩乃守に似ていた。

 いや、詩乃守が、妹に似ていたんだ。

 俺はその妹――華怜かれんと両親と共に、普通に楽しく幸せに、暮らしていた。


 そして、小学校低学年の頃くらいか。

 両親の外国の友達のところに、旅行に行くことになったんだ。

「お兄ちゃん! りょこーだよりょこー!」

「おお! 旅行だな! 初めてだな!」

 初めての旅行に妹と一緒に大いにはしゃいでいた。

 飛行機に乗って、遠い国へと渡った。


 オーロラ王国。

 それが、旅行先の国の名前だった。

 そしてあろうことか、両親の友人はその国の王と王妃であった。

 確かに、俺たちが生まれる前は両親共に海外を飛び回っていたと聞いてはいたが、まさか友達に王族がいるなどとは想像できるはずもなく、面食らったのを覚えている。

 今思えば、両親は異別者だったのだろう。優秀な異別者であっただろう両親は、それ関連で仲良くなったのだ。

 両親に連れられ、立派で巨大な、自分たちが住む家が何個分になるのか分からないほど広い城へと入った。 


 そうして。

 そこで出会ったのが。

 王と王妃の娘であるお姫様。

 俺は一目見て、立ち尽くし、視線を釘づけにされ、見惚れた。

 その黄金色の髪にも、藍色の瞳にも、白い肌にも、お姫様らしいドレスにも。

 見惚れ、しばらく動けなかった。

 美しい、綺麗、なんて言葉では到底表せられなかった。

 

「はじめ、まして、わたしは、アイラ・アウロラランド、です。あなたのなまえは、なんですか?」


 アイラとの最初の邂逅、その第一声は、カタコト気味な日本語で為された。

 しかし、この年で日本語が喋れるのは凄いことなんだと、その時は気づけなかった。

 だからその時の幼い俺は、女の子に見惚れた自分が恥ずかしくて、つい言った。


「変な喋り方するんだな」

 すると黄金色の髪の女の子は。

「あう……ごめんなさい。がんばって、おべんきょーしたんですけど、まだまだ、ですね……」

 しょんぼりしてしまった可愛い女の子に、俺は慌てた。

「い、いや、ちゃんと喋れてるし、意味も伝わるから、すごいと思う。君はすごいよアイラ」

 アイラは藍色の瞳で、上目遣いに見つめてくる。

「そう、ですか……?」

「ああ、俺はそう思うよ。それと、名前だったよな。俺は相沢和希だ」

 アイラはパッと明るくなり、とびきりの笑顔を見せた。

 初めて見る、アイラの笑顔だった。

「ありがとうございます、カズキさん」

 その笑顔に、また見惚れないわけがなかった。 


 ――それから。

 俺とアイラはすぐに仲良くなり、アイラは妹とも仲良くなり、三人で遊び回った。

 お城の中庭を駆け、広いお城でかくれんぼをし、女の子二人のおままごとに付き合い、衛兵さんにイタズラしようとしてアイラに止められたり。

 とにかく、いっぱい遊んだ。

 

 数日後、家に帰る時。 

「カズキさん、カレンちゃん、かえらないで」

 アイラは涙ながらに俺たちに言った。

 俺はアイラの頭に手をポンと乗せ、撫でる。

「また会える。一生の別れじゃないんだ。だから、また会いに来るよ」

「ぜったいに、また、あえますか……?」

「ああ、だから、またな」

「…………はい、またですっ」

 アイラは渋々納得して、俺たちは日本に帰った。


 ――――。 

 

 それから、数年後。

 もうすぐ中学校に入る頃。

 俺たちは、またオーロラ王国へと旅行に行った。


「和希さん! 華怜ちゃん!」

「おお、日本語かなり上手くなったんだなアイラ」

「はい、和希さんたちともっとちゃんとお喋りできるようになりたくて頑張りました」

「上手い上手い! かわいいよアイラちゃん!」

「かわいい関係あるか?」

「ほんと久しぶりだねーアイラちゃん」

「無視すんなよ」

 華怜はアイラに抱き付いていた。

「わ、わわっ、苦しいです華怜ちゃん」

「いい匂いだね~、病みつきになるよ~」

 華怜は何かの動物のようだった。

「お兄ちゃんも堪能する~?」

 馬鹿なことを華怜は聞いてきた。

「ああ、当然だ。アイラがいいのなら」

 俺はアイラに近づいた。

「ええっ!? だ、だ、ダメです!」

 顔を赤くして必死な様子で言われた。

「あはははお兄ちゃん振られたー!」

「うるせえ」

 俺たちは、再会を喜んだ。


 数日間、俺たちは語らい、遊んだ。

 数年間の内にあった出来事を伝え合ったり、俺が持ってきたカードゲームで遊んだり、昔みたいに駆けまわったりはしなかったが、とにかく楽しく遊び倒した。

 そう、会えなかった数年間を埋めるように。

 アイラも華怜もとても楽しそうで、嬉しそうで。

 俺も心が暖かくなって。

 こんな平穏が、幸せが、続いて行けばいいと思った。


 

 そして、滞在する最終日。

 それは、起こった。

 起こって、しまった。

 

 超常の力を持った者の、襲撃。


 その化け物の力は強大で、城の外壁は破壊され、人が沢山殺された。

 優秀な異別者の両親は、最後の砦のように、果敢に戦っている。

 アイラとアイラの両親は王族だから、城の奥に匿われていた。

 俺と華怜も匿われていたが、両親が心配で抜け出してきたのだ。

 だが、抜け出してきたにも関わらず。

 俺は、それを後ろで見ている事しか出来なかった。

 華怜も一緒で、俺にしがみついて震えている。

 動けなかった。

 現実感も無かった。

 俺は怖くて、まるで別世界の出来事のような目の前の光景に、ただ震えていた。

 超常を、非日常を始めて体感した俺は、何も出来ない幼子と化したのだ。

 当然だ。

 小学生の子供に、何が出来るというのか。

 

 逃げる事も出来ずにいると、やがて両親は倒れ、動かなくなった。

 殺された。

 辺りは、血の海だ。

 悲しみに暮れる暇もなく。

 化け物と言える力を持った奴は、俺たちに近寄ってくる。

 俺はそこで、やっと、恐怖から一時的に逃れられた。

 大切な妹を――華怜を護らなければならない。

 思考がその一点のみに埋め尽くされたからだ。

 華怜の手を取って逃げた。

 この城でやった、前みたいな遊びではなく、死に物狂いの鬼ごっこが、始まる。

 と思った。

 だが、一瞬でそれは終わりを告げたのだ。

 なにかの音と、衝撃が奔ったと思うと。

 俺は転がっていた。

 理解が追い付かないまま傍らを見ると、妹が血まみれで倒れていた。

 すぐに、死んでしまっていると、解った。

 解らされた。

 俺が、抜け出したりしなければ、妹もついてくる事なく、こんな事にはならなかったのではないかと、どうしようもない自責の念に駆られる。 

 俺のせいで華怜が死んだ。

 度し難いほどの愚か者だ。


 そして。

 俺は思った。

 思ったんだ。


 人が死ぬって、こんなにも悲しい事なんだって。

 耐えがたいほど、辛くて苦しくて、何もかも嫌になる事なんだと。

 絶望の中で、意識を失いながら、俺はそう思ったんだ。 


 誰も死なない結果がいい。

 すべてを救いたい、と。



 その後目を覚まし、気がついた時には俺は全てを忘れていた。

 両親が死んでいる事も。

 大切な妹の華怜がもういない事も。

 なぜか俺の家に住んで、妹になっているアイラが、本当は妹じゃない事も。


 でも、一つだけわかる。

 俺は、アイラに救われていたんだ。

 一人になった俺には、誰もいなかった。

 けれど、アイラはいつも一緒にいてくれて、支えてくれていた。

 その優しさに、暖かさに、笑顔に、助けられていた。

 俺は、大切な人どころか自分ひとりすら救えずに、アイラに救われていたんだ。

 

 そして、妹じゃないと分かった今だからこそ、思う。

 俺は、アイラの事が初めて会った時から、好きだったのかもしれない。


 いや、かもしれないじゃない。


 俺は、アイラの事が、ずっと前から。

 異性の女の子として。

 好きだった。

 


 6月14日日曜日



 ――――。

 意識が、明瞭になっていく。

 目を開けたら、白色。

 見覚えのない寝起きの光景。

 一瞬で寝起きのぼんやりさが消失した。


 アイラは? アイラはどこだ!?

 あの後どうなった。

 なぜ俺は生きている。


 部屋内を見回す。

 簡素な部屋だ。 

 家具もそんなにない。

 窓から差し込む陽光が、今の時間は夜ではないと知らせてくる。


「真白……?」

 俺が寝ていた布団、その横にもう一枚敷かれた布団で真白が寝ていた。

 白髪はくはつが広がり、陽光に照らされている。

 あどけない寝顔は、幼子のようで、素直に可愛いと思った。

 それを起こすのは悪いが、俺はアイラがどこにいるか知らなければならないんだ。


「真白。起きてくれ真白」

 肩を揺する。

「ん…………カズくん」

 真白は、意外とすぐに起きた。

 あくびを噛み殺しながら起き上がる真白。

「おはよう、カズくん」

「あ、ああ、おはよう真白」

 挨拶をされたので逸る気持ちを抑えながら返す。

「それで、訊きたいんだがアイラはどこだ?」

 他の何よりも、一番知りたい事だった。

 

「アイラちゃんは……………………」

 真白は表情を歪めて言い淀んだ。

 嫌な予感が沸き上がり、加速した。

 認められない想像が、脳内を駆け巡る。

「言ってくれ。知らなければ、何も始まらない」

 頭の中の想像を吹き飛ばしてほしくて、言葉を絞り出した。

 そんなことは、ありえてはいけないのだから。

「うん。なら、言うよ……」 

「ああ……」

 真白は一呼吸後。


「アイラちゃんは、もういないんだよ……」


「――――――――――」

 あぁ……。

 知ってた。

 知りたくなかった。

 真白が、天使の組織――確かヘヴンズといったか、の治療施設に搬送したとか、そういうのだと、思いたかった。

 俺は、大好きな女の子を、護れなかった。

 

「昨夜、カズくんの様子が心配になって電話を掛けたんだ。そしたら何度掛けても繋がらなくて、嫌な予感が膨らんで、大げさかなとは思ったけどこんな状況だから確かめた方がいいって考えて、それで、わたしが駆け付けた時には、もう…………」


 アイラは、もういない。

 いない。

 会えない。

 ということは。

 俺はこの先、アイラと過ごす事が出来ないという事。

 あの黄金色も、藍色も、笑みも、見る事は出来ない。

 話す事が、出来ない。

 声が、聴けない。

 体温を感じる事が出来ない。

 甘くいい匂いを感じる事もない。

 一緒に、いれない。

 

 なんだ、それは。

 何の意味もないじゃないか。

 俺は、アイラがいたから、頑張れてたんだ。

 アイラがいない世界など、俺にとって何の価値もない。


 いや。

 それよりも。

 何よりも。


 なんで、アイラが死ななくてはならないんだ。

 あの子は、こんなところで死んでいい子じゃなかった。

 本当に、心優しい女の子だったんだ。

 なのに、ちゃんと幸せにならずに、こんなところで終わるなんて、あっていいはずがないだろ。

 そんなの、あんまりにも、アイラが救われないじゃないか。

 

 すべてを救う者?

 そんなの今口にしようものなら、鼻で嗤われるほどだ。

 最も大切なたった一人を救えずに、誰を救えるっていうんだ。

 

 アイラ。

 ごめん。

 ごめんな。

 ごめんなさい。

 もっと、笑わせてやりたかったよ。

 もっと、幸せにしたかったよ。

 もっと、一緒にいたかったよ。

 

 大好きだったよ。


 涙は、枯れていたと思っていた。

 でも、そんな事はなく、何度も溢れて、いやになる。

 絶望と後悔の中で、ただアイラを想って涙を流す。

 もういやだ。

 くそ。

 くそっ!

 クソォッッ!!

 

 ――ふわりと。

 白髪が舞った。

 甘い匂いが、鼻孔に届く。

 女性の柔らかさと、暖かさを感じる。

 俺は、真白に抱きしめられていた。

 幼子を抱く母親のように、慈しむように、その胸に抱かれる。


「いい子いい子」

 頭を優しく、撫でられた。

 背中を、赤子をあやすようにポンポンと叩かれた。

 

 ……。

 俺は、守られているのだと。

 染み入るように、理解した。

 悲しみ全てから、今、真白が守ってくれているのだと。

 俺は。

 それに、身を委ねた。

 真白は黙って、俺を守り続けた。


 ――――。

 しばらくすると、心が少し、落ち着いてきた。

 いや、落ち着いてはいないのだろう。

 ただ、荒れた動が、騒めく静へと変わっただけだ。

 少なくとも、涙はもう、出なくなった。

 枯れただけかもしれないが。

 枯れていなかったはずなのに。

「ありがとう、もういい」

 俺はそう言って、体を離した。

 よく見ると、真白の目元が赤みを差しているように見える。

 真白も、泣いていたのだろうか。

「本当にいい? いつまででもいいんだよ」

 今までで一番優しい表情をして、真白は言葉を向けてきた。

「いい。問題ない」

 そこまで、弱くはいられない。

 すでに十分、弱いのだけれど。

「そう」

 真白は俺の意思を受け取ると、立ち上がった。

 それから寝ていた布団を畳んでいく。


「朝ごはん作るね」 

 真白はそう言ってキッチンへと向かう。

「ここは、どこなんだ……?」

 今さらのように、俺はその質問をした。

「ここはヘヴンズが手配してくれたわたしの借り家だよ」

「そうか……」

 通りで物が少ないと思った。


 それから俺は、動く気にもなれず、座り込んでただ真白の行動を眺めていた。

 料理をする真白の後姿を、無気力に視界に写し続ける。


 ――その姿が、アイラの料理する姿と重なった。

 いつも料理をして、俺なんかの飯を作ってくれていた妹。

 戻った記憶からすると、妹じゃないんだっけか。

 どうでもいい、俺にとって大切な存在だという事は変わらない。

 揺れる白髪が、黄金色に見え掛ける。

 アイラ。


 ――駄目だ。

 こんなんでは駄目だ。

 アイラはもういない。

 いないのだ。

 …………。

 アイラ……。

 

「出来たよ、カズくん」

 真白は隅に在った丸テーブルを持ってきて、その上に朝食を並べた。

 食パン、目玉焼き、サラダ、牛乳。

 一般的且つ栄養のいい朝食だ。

「さあ、食べよ」  

 真白は手を合わせいただきますと言い、食事に手を付け出す。

 俺は。

「いただき、ます……」

 とりあえず、食べる事にした。

 作ってもらったからには、食べないといけない。

 そんな使命感めいたものを抱いた。

 アイラの料理を、毎回残さず食べていたからこそ抱いたものなのか、真白の料理を食べるのはこれが初めてだったからか。

 それは分からないけれど。

 とにかく食べる事にした。

 食欲は、あまりないが。

   

 目玉焼きを食パンに乗せて、一口齧った。

 美味い。

 アイラほどではないが、美味かった。

 うまかったんだ。


 なんでか。

 また涙が出そうになった。

 

 

 ――――。

 食事が終わると、そんな事したくもないのに、いつもの日課を繰り返すように顔を洗い、真白の予備の歯ブラシを借りて歯を磨いた。

「カズくん、なんとか貴重品とかは回収しておいたから、確認して」

 真白が一つの鞄を俺の前に置く。

 開けてみると、財布や通帳、少量の着替えが入っていた。


 そういえば。

 結局あの悪魔は、何が目的だったんだ。

 真白は、今は何も訊いてこないけれど、訊きたいはずだ。

 俺を気遣って、言葉にしないだけで。

 とりあえず、何が起きたのかだけは話しておくべきだと思い、俺は口を開く。


「カズくん、シャワー浴びる?」

 俺の発しようとした言葉は、真白の言葉に遮られた。

 タイミングを逸して、今は真白の問いに答えようと思う。

 シャワー。

 考えるまでも無く。今の俺は全くそんな事をする気は起きない上、やりたくもない。

 けれど真白が、臭いのは嫌かもしれない。

 昨日は動き回って汗を掻いたし、全く変な臭いがしないなんて事もないだろう。

 なら、入るしかないか。

「ああ」

 俺はそう答え、着替えを持って立ち上がった。


 

 シャワーの音が、広くはない部屋に響く。 

 こうしてシャワーを浴びて立っていると、嫌でも思考が浮かび上がってくる。

 俺はそれを押しとどめて、別の事を考える事にした。


 俺の信念の起源。

 過去を、なぜ忘れていたのか。

 今なら分かる。

 記憶を取り戻した今なら。

 少し朧げだが、恐らく催眠療法だ。

 家族を全員殺され、心を壊した俺にアイラの両親が施してくれたのだろう。

 生活費も、多分アイラの両親がどうにかしてくれていたのだろう。 

 通帳には結構な額が書かれているのだから。 


 だが、アイラが妹となって一緒に住んでた理由は、なんだろう。

 襲撃に関係しているのか、アイラ自身に関してか。それともどちらもか。

 というかそもそも、俺はなぜ生き伸びたのか、あのまま俺も殺されているべき場面だっただろう。遠い過去でも、つい昨夜の事でも。

 見逃されたのか? 誰かに助けられたのか?

 それはまだ、わからない。

 過去に城を襲撃したあの化け物は、どうなったのだろう。

 誰かに助けられたのだとしたら、その人が倒した事になる。

 見逃されたのだとしたら、あの化け物はまだ生きてどこかにいる可能性がある。

 見逃された理由なんて、思いつかないけれど。

 だけど、それらは今、考えるべき事ではないのかもしれない。



 キュッとノズルを回しシャワーを止める。

 結局、益体も無い事を考えただけだったな。

 そんな事を考えたところで、いい方向に物事が転がる訳でもない、敵を倒せる訳でもない。


 敵と言えば。

 あと残っている大罪者は、一人だけか。

 俺、詩乃守、蕪木、マンイーター、佐藤、鈴倉、魔獣使い。

 これで大罪者は全員だ。

 そして、生き残っているのは俺と、姿を一向に見せない魔獣使いのみ。

 悪魔という強大な敵も増えたが、それでも敵は後二人かもしれない。

 この戦争を引き起こした他の悪魔も出てこなければの話だが。

 

 浴室から出て身体を拭き、着替える。

 部屋に戻ると、真白も別の服に着替えていた。

 というか着替えている途中だった。

 さらに、途中というか、着替えの最中に座り込んでぼーっとしている様子だった。 

 着替えるだけなら、俺がシャワーを浴びている内に時間の余裕は十分だっただろう。

 にも拘らず着替え途中という事は、それなりの時間ぼーっとしている事になる。


「真白……?」

 目に毒な、名前と同じ白い下着姿をなるべく見ないようにしながら、名前を呼んだ。

「あ……カズくん」

 真白が今気づいたようにこちらに視線を向ける。

「どう、した?」

 流石に心配になり、声を掛ける。

「なんでも、ないよ……」

 真白は何事もなかったかのように微笑んだ。

「なんでもないわけ――」

「カズくん」

 俺の言葉を遮り。

「そういえばわたし、着替え中だよ……? 部屋の外でちょっと待ってて」

 頬を赤らめて、真白は言ってきた。


 そういえばって、お前も忘れてたんじゃないかと。

 忘れるほど何か考えてたんじゃないかと。

 それは何でもないとは言えないと思うぞと。

 口にしたいことは色々あったが、そう言われてはこのまま留まる事は出来なかった。

 

 部屋の外に出てドアを閉める。

 衣擦れの音がドア越しに聞こえる。

 

 やっぱり、あれだよな。

 気づいたら赤らんでいた目元、先のぼーっとしていた様子。

 真白も、悲しくない訳ないんだよな。


 当たり前の事か。

 涙を見せない分、俺よりも強いが。

 一人の少女である事に変わりはない。

 俺は、情けない。

 情けねえ。

 でも。

 そう簡単には、いかないんだよ。


 アイラ。

 アイラ……。

 俺は――。

 君をまもりたかっただけなのに。

 心の奥の、本当の想いはそれだけだったのに。

 記憶が封じられていた弊害か、捻じれて歪んで、曲解していた。

 すべてを救いたいなんて、俺は本当は思っていなかったのではないか。

 今では、そう感じてしまう。

 アイラがいない、今は。


「カズくん、もういいよ」

 真白の声を聞いて部屋に入る。

 着替え終えた彼女は、なぜかいつもよりオシャレをしている気がした。

 いつも通りに綺麗な白髪はくはつ、神秘的なヴァイオレットの瞳、陶磁のような白い肌。

 その体を包むのは、いつもと違う、なんというか、服の種類はあまり詳しくないが、ふわふわとした桜色の女の子らしい服だった。

 

 だが特に言及はせず、部屋の壁に背を預け、俺はまた無気力に座り込む。

 何かをする気が起きない。

 動きたくない。

 真白は、身支度を整えていた。

 どこかへ行くのだろうか。

 

「カズくん、ちょっとついて来て」

 気づくと真白は、俺の目の前に手を差し伸べていた。

「……?」

 ついて来てって。

 どこにだよ。

「いいから、ほら」

 真白は俺が怪訝を表すのも気にせず、手を無理矢理取って引っ張った。

 予想以上に力があったからか、俺はその勢いで立ち上がる。

「いこ」

 手を取ったまま、そのままどんどん歩いて進んで行く真白に流されて俺も足を動かす。

 その勢いに逆らう気はあまり起きなかった。

 特に動きたくはなかったが、特にじっとしていたい訳でもなかったから。

 真白がそうしたいなら、真白の意思に任せよう。

 俺はもう、無理だから。

 真白に家から連れ出され、進んで行く。

 歩いて行く、歩いて行く。

 手を引かれるまま、無気力に。

 ズンズンと進む真白の手は、暖かった。




 真白に連れられてきた場所。

 その場所は、ショッピングモールだった。

「こんなところに来て、何をするんだ?」

 流石に理由を聞いた。

 敵でも潜伏しているのか? こんな人の多い場所に?

 真白は振り返って、当然の事のように言った。

「何するって、ショッピングモールに来てすることといったら一つでしょ?」

「…………は?」

 思考が一瞬停止。

 すぐに結論に至る。

「ああ、必要な物資の調達だな」

「ううん、違うよ」

 思考が数秒停止した。


 ショッピング、娯楽、遊び、日常。

「こんなときに、なにを……!」

 理解できない暢気さに怒りさえ湧く。


「こんなときだからこそ、だよ」


 だが真白は、真面目な顔と声音で断言した。

「どういう、意味だよ」

 どうしてそんな、真剣なんだ。

 たかが、遊びだろ。

「カズくん、わたし達は多くの人達の犠牲の上に、立っているんだよ」

 話が飛躍したように思えた。

 口を挟もうとしたが、真白の言葉はまだ続き、最後まで聴く事にする。

「わたし達はその分生きて行かなくちゃいけないの。絶対に、生きていなくてはいけないの」

 真白は、強い意志の宿った瞳で語る。

「必ず生き抜く為には、心も重要なんだよ」

 真白は一呼吸の後、結論を口にした。


「意気消沈したままじゃ、生き抜けないよ」


 それが、ここに来た理由。

 生き抜く為に、前を向いて行動した結果。

 俺をまた立たせようとしてくれた、ということ。 


 ――強い。

 

 真白は、俺よりも先に行っている。

 中途半端に信念掲げて走った俺よりも、先の強さを持っている。

 

 似ていると思っていた。

 真白は、無理をして前向きにいつも笑っていた。

 俺も、多分無理をしていた。

 だけど、似ていると思っていた彼女は、俺よりも強かった。


 辛いときこそ笑え。

 前に真白がそんな言葉を言っていた。

 考えてみれば当然だ。

 俺は、それが出来ないのだから。

 真白みたいに、笑えない。

 辛いときは、辛い。

 その反対の感情を、無理矢理出すなんて芸当、出来ない。


 俺はアイラの分、生きなくてはならない。

 アイラの為にも、前に進まなければならない。

 きっとアイラも、それを望むだろうから。

 

 それは解ってる。わかったんだ。

 だけど。

 やっぱりそれで、はいそうですか、なら自分もそうしよう。なんて簡単にはいかないんだよ。

 

 アイラがいないという事は、俺にとってすべての消失に等しいんだ。

 それだけ、アイラは大きな存在なんだ。

 軽くなんてない。

 そんな程度じゃないんだよ。

 どうしようもなくて、真白の顔を見ていられなくて、俺は力無く俯いた。


「カズくん……」

 真白の、俺を呼ぶ声。

 動けない。

 応えるべきだ。

 無理だ。

 

「いこ」

 真白に手を取られ引っ張られるが、足が重い。

「きて」

 さらに強く、引っ張られる。

「お願い」

 懇願の言葉。

 ようやく、かろうじて。

 足だけは動いた。

 真白に手を繋がれながら、ただ流れに身を任せて歩く。


「カズくん、カズくんが頑張れないなら、わたしがカズくんを生き残らせて見せるよ」


 ほんとに。

 本当に君は。


 強いな。




 ショッピングモール内を真白に手を引かれて歩いて行く。

「カズくんカズくん、アイス食べる?」

「俺はいい。真白が食べたいなら食べればいい」

「う~ん、じゃあ今はいいかな」

 そういうとまた、歩いて行く。


「カズくん、服買ってあげようか?」

 服屋の前を通りがかると、真白がそんな声を上げた。

「いいって、高いだろ」

「でも、着替えちょっとしかないよね?」

 悪魔に襲撃された家はもう無く、真白が回収してくれた衣類も確かに少ない。

「だが、やはり買ってもらうのは悪い。そもそもお前金あるのか?」

「いいから、お姉さんに任せなさいっ!」

 同い年だろ。と思ったがわざわざ口には出さなかった。

 勢いに呑まれて真白と共に服屋へと足を踏み入れる。


「う~んこれはちょっと違うかな。これは、惜しい。あ! これ! だめかな」

 真白は男物の服を物色している。

 俺は店内へと視線を巡らす。

 当然ながら、服しかない。

「これ! ……別のにしよう!」

 真白は俺の身体に何度も色々な服を当てた。

 着せ替え人形のような気分になってくる。

 俺は突っ立っているだけだった。


「これにしよう! すごく似合ってるよ!」

 結局小一時間ほど着せ替え人形にされた後、ようやく真白は買う服を決めた。

 紺色のジャケット、黒色のシャツ、暗色のスラックス。 

「これ絶対高いだろ」

 しかも三つも。

 むしろ靴下や下着まで選ばなかった分抑えているのだろうか。

「そんなこと気にしなくていいの。買う側が大丈夫だって言ってるんだから」

 そう言われては何も言えなくなってしまう。

 それでも何か言おうとする暇も無く、真白はレジに服を持って行った。


 購入後俺の元に戻ってくる。

「はい、カズくん」

 服の詰まった袋を、笑顔で俺に差し出してきた。

 とりあえず受け取る。

 だが、やはりこのままでは納得できない。

「だったら、俺もお前に買ってやる」

「へ?」

 真白は自分の服装を見下ろして。

「この服、気に入らなかった……?」

 上目遣いで不安げに問うてきた。

「いや、そういう意味じゃない。ただこのままじゃ俺が納得できないだけだ」

「でも、お金大丈夫?」

「同じ心配すんなよ」

 確かに金の余裕はあまりないかもしれないが、服を買えないほどじゃないはず。

 残金が危ういほど高かったとしても、そんなのは後でバイトでもすればいい。

「じゃあ……お願いします?」

 首を傾げて真白は言ってきた。


 俺は買い物に時間を掛けるタイプではないので、すぐに決める事にする。

 しかし適当に選ぶ訳でもない。

 とりあえず見て回った。


 うん、これがいいだろう。

 真白に似合いそうだ。

 俺は店員さんを呼び、これを下さい、とガラスのショーウインドウに入った服を指差し示す。

 購入すると、真白の元へ戻る。

 ショーウインドウに入ってたやつだけに高かったが、それは仕方がない。

 真白に一番似合いそうなのがこの服だったのだから。


「ほら」

 真白に袋を差し出す。

「…………」

 真白は、目をキラキラさせてしばらく黙り。

「ここで、着てっていい?」

 静かに、そう口にした。


 ――――。

「ルンルンっ。るんるん♪」

 やけにご機嫌に歩く真白。

 その姿は、白くフリルのついたワンピースへと変わっている。

 綺麗な白髪に、陶磁のような肌に、白いワンピースで全身白の天使のよう。

 そういえば天使だった。

 毎回忘れかける。

 しかしその白の中に一点のヴァイオレットが存在し、神秘さを際立たせている。

 うん、やはり似合っている。

 俺はいつの間にか、手を引かれる必要が無くなっていた。


 されど。

「ありがとうねカズくんっ」

 くるりと振り返って、真白は笑顔でそう言ってきた。

 ――――――――――。

 ぁ。

 その姿が、アイラの笑顔と重なった。

「ぐ……っ」


 アイラは、もうこんな笑顔を浮かべる事は出来ない。

 アイラの未来、命、想い、すべてはもう、亡い。


 それを思い出すと、もう駄目だった。

 足が止まる。

「カズくん?」

 少し進んで真白が振り返る。

 俺の様子を見て、表情を曇らせる。

「カズくん……」

 そうして寂しげに声を発した。

 だがすぐに強い笑みに戻り、俺の手を握った。

「いこ」

 


 先刻と同じく手を引かれ、しばらく歩いた。 

「カード見に行ってみようか?」

 カードゲームか。

 みんなでやったな……。

「どっちでもいいが」

「なら行こう!」

 

 カード売り場に着く。

 専門的なカードショップと違って、ショッピングモールの玩具売り場にあるようなのはパックとデッキぐらいだ。

「あ、新弾出てたんだ。わたしは買ってみるけど、カズくんは買う?」

「いや、いい。今はやってないからな……」

「そっか、残念。カズくんとパック剥いてみたかったんだけど」

 本当に残念そうな顔をする。

 少し心が動くが、今はそんな気分じゃない。

「じゃ、買ってくるからちょっと待っててね」


 真白は買って戻ってきた。

 近くのベンチに二人で座る。

「とりあえず5パック買ってきたよ。新しいカードはどんなのかな~」

 一パック五枚入りだ。

 俺の隣で楽しそうにパックを開ける真白。

 少し気になって、真白の手元を見る。

 

 俺がやってた頃とはまた違う、目を引く効果なカードがあるな。

 長く続いてると、奇抜な効果のカードとかも出てくるものだ。

 

「カズくん、気になるなら、買う?」

 真白は微笑んでこちらを見てきた。

「いや、いい」

「そっか」

 真白は最後のパックを開ける。

「これは……」

 真白の声に反射でカードを見た。

「チートだな……」

「チートだね……」

 真白が持つ五枚のカードのうち一枚。

 キラキラに加工されたそのカードの効果は、反則級といってよかった。

「すぐ禁止カードになるだろうな」

「そだね……」

 なぜこんなカードを作ったのか。

 制作側は何を考えていたのか。

 それは別に、どうでもいい事だった。


 

 それから。

 ショッピングモール内の飲食店で昼食を取った後、広い店内の色々な店を真白と見て回った。

 行く先々で、真白は俺に頻繁に話しかけてきた。

 真白の気遣いが、痛いほど理解できてしまって。

 ありがたくも、胸の奥が痛んだ。

 それでも俺は、立ち上がれないのだから。


 ――卑怯で最低な事さえ、しなければ。




 宮樹みやき市自然公園。

 噴水近くのベンチ。

 夕焼けが支配する光景の中、俺達は隣り合って座る。

 

 この場所で、今と同じように座って、アイラと話した事があった。

 俺はあの時、絶対帰ってくると言った。

 でも、待っててくれる人がいないと、それは意味が無い。

 俺が首を突っ込んだから、こんな事になったのだろうか。

 いや、大罪者になってしまった時点でこの戦争から逃れる事は叶わなかっただろう。

 なら、何がいけなかったんだ。

 

 ああ――。

 そんなこと、解っている。

 ――俺が弱かったのがいけなかったんだ。

 

「もぐもぐ」

「真白……」

「なあに?」

「今それ食べて、夜飯入るか?」

「うん、これは別腹だから」

 そう言って、コンビニで買ったシュークリームを食べるのを再開する真白。

 俺はその様子を、眺める。


「もぐもぐ」

 アイラもこの場所で、同じように駄菓子を食べていた時があった。

 やはり、どうしたって重なってしまう。

 なら、ここに来なければよかったのではないか。

 真白は意図して選んだ訳ではないだろうが、俺が拒否すれば別の所に行っただろう。

 でも俺は拒否しなかった。

 つまるところ。

 俺は、アイラを忘れたくない。

 そういう事だと思う。

 触れる事はもう不可能だけれど、もっと近くに感じていたいんだ。

 

「もぐもぐ」

 真白は、随分と美味しそうにシュークリームを食む。

 アイラも、随分と美味そうに駄菓子を口にしていた。

 

 アイラ。

 その姿が、笑顔が過ぎる。


 ――――くそ。

 ずっとアイラを想っていたい。

 ならば、生きていなくてはいけない。

 アイラがいない世界に希望は見いだせない。

 けれど、だからって自殺したり殺されたりして終わる訳にもいかないんだ。

 生きて、アイラの全てを抱いて、思い出を持ちながら、進んで行く、

 生きるのを諦めたところで、俺の中のアイラまで死んでしまうのだから。

 だったら、立ち上がるしかないだろ。


 立ち上がるしかないんだ。

 けれど、でも、なんて逆接の言葉は思ってもいけない。

 だけど。

 それでもすぐに、切り替える事なんて難しい。

 だから、ごめん真白。

 俺は今から、最低な事をする。


「真白」

「ん? なにカズくん」

 真白はシュークリームを食べ終わったところだった。


 俺はその女の子を、抱きしめる。

 強く、抱きしめる。

 大切なものを、掻き抱くように。

 取りこぼさないために、護るように。


「へっ!? どうし、たの……?」

「アイラ……」

「……っ」

「ごめんな、アイラ」

「カズくん…………」

「護れなくて、ごめん。救えなくて、ごめんなさい」

 自然と、落涙していた。

 想いが溢れてくる。

「アイラ、俺、君とずっと一緒にいたかった」

 最低だ。最悪だ。

 真白を、アイラの代わりにするなんて。

 アイラの代わりになんて、誰だってなれないというのに。

 もちろん、真白の代わりだって。

 

 それでも、俺はアイラに言いたかった言葉を続けていく。

「他の誰よりも、君を護りたかった……!

 誰よりも、大切だった!

 誰よりも、好きだった!」

 それはきっと、昔からだ。

 妹というフィルターが除かれた瞬間、押さえていたものが止まらなくなるほどに。


「カズくん」

 決意の表情で、真白が言った。

「わたしはアイラちゃんじゃないけど、今だけはアイラちゃんだと思ってもいいよ。大切な人の代わりになんてなれないけど、そう思ってもいいよ。大丈夫だから。わたしは受け入れるから」

 真白の方から、強く抱きしめてきた。

 

「ごめんな」

 それは、今目の前にいる白い少女へ言ったのか、黄金色の少女へと言ったのか。

 自分でも、判らなかった。


 想いが止まらず、衝動が湧き上がった。

 愛しい人への、欲望が。

「アイラ……」

「……っ、カズくっ……んぅ……っ」

 アイラ真白へと、口づけをした。

 渇望し、求めるように。

 ここに、留めるように。

 殴られてもいい。

 突き飛ばされてもいい。

 それでもこうしたかった。

 だけど。

 彼女は最初抵抗するような挙動を取ってはいたが、すぐに大人しくなり、受け入れてくれる。


 口づけの味は、甘ったるいシュークリームの味だった。 

 それは、アイラとは違う、真白だからこその、感覚だった。


 ――――――。

 ――――。

 ――。


 深夜。

 真白と共に布団に入り、身を横たえる。

 真白は既に寝息を立てていた。

 

 俺も、寝て起きたら今日みたいにはいられない。いちゃいけない。

 生き抜く為に、戦う意思を持って立たなければいけない。

 信念も何も、定まっていない。

 決断なんて、出来ていないけれど。

 それでも前に進む。生きる事だけは、諦めない。

 間違えず、真白と共に生き残るんだ。

 それが、俺の中のアイラを護る事にも、きっとなると思うから。 


 …………。

「すぅ……すぅ……」

 真白の、無垢な幼子のようにあどけない寝顔を眺めながら思う。

 この、いつも元気で、どこか少し自分に似ていて、それでいて自分よりも強くて優しい女の子のことも。

 いつしか、好きになっていたのだと。

 




 暗い部屋、潜伏先に佇む一人の男。

 暗色の青色をした神父服に身を包んでいる。

 神父服の男は、魔力の回復に専念していた。

 しばらく何も仕掛けず、後の時に全力を以って挑む為に。

 最高戦力で敵を排除し、目的を成す為に。

 神父は無表情に、ただ理想だけを見据えていた。


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