不確かな関係

僕にはクセがある。


何をつかむでもなく

空に向かって手をのばす。

手のひらを向けるだけじゃなく、

両腕を突き出して、

何かを逃さないようにと

必死で手をのばす。


その時 僕は

言いようのない焦りにおそわれる。


手の先に大切なものをおいて、

絶対に失っちゃいけない

大切なものたちをおいて

それで

一生懸命手をのばす。


僕からつかんじゃいけない。

相手が僕をつかむまで、

相手が僕を受け入れるまで、

僕は手をのばし続けるんだ。


そうしてつかんだものこそが、

二度と消えることのない

確かなものになる。


だからこそ 僕は手をのばし続ける。

一度 手放した

君たちをこの手に取り戻すために。


              ~不確かな関係~

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る