第101話 里帰り(その6)
「つーか本当にこんな上に……」
B子は断崖絶壁を見上げながら絶句した。
「元々は修験者の修行の場だったからなあ。子供の頃から上り下りしていたから気にもならん」
「ご主人様って草食系かと思ってましたが結構肉食系…ポッ」
B子はご主人様を押し倒した夜を思い出して赤面する。
「あれは忘れてくれ……」
「ご主人様、私には無理です」
A子は泣き出しそうな顔で言う。
「いや、流石に初心者にロッククライミングやらせる気はない」
「え? 登る方法あるんですか?」
……
「えーと」
A子は胴に巻かれたザイルを見て憮然とする。
「俺が上から引っ張り上げるからノンビリ風景でも見てるがいい」
「冗談ですよね?」
ご主人様が先に断崖絶壁の岩肌をスパイダーマンよろしく、するするとフリークライミングで登って行き、広めの足場に到着する度ザイルで縛ったA子を引き上げていく。
B子とC子は流石人外だけあってご主人様の後を着いて自力で登って行った。
「……私ご主人様への認識を改めなければならないようです」
「どんな?」
「アンタも充分バケモノや」
「しかし凄い簡単に登って行きますねぇ……」
「きたえてるんですか?」
C子が登りながら質問する。
「ガキの頃、この辺りに棲んでいた師匠に鍛え上げられてな。ほら、いづなって名前聞いてるだろ」
「金屋子神さまがいったかたですね。ボクはおあいしたことありません」
「根無し草だからなぁあの人。今はどこの空の下やら」
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