第72話 秋葉原探訪(その11)

「ところでお主ら、これから予定があるか?」

「え、いや、コタツがこれで手に入れられたんですから帰るだけで」

「ヒマじゃろ?ちょいと付き合え」

「はあ」


 ご主人様たちは困惑しつつ、金屋子神の後について店を出る。


 老人は異空間との通路である路地をくぐり抜けて現実のジャンク通りへと歩いていった。


「こっちじゃよ」


 手招きする老人を見つけて駆け寄る。


「どこへ行くんですか?」

「なぁに、ちょいと一服だ」


 言われるままについていくご主人様たち。

 やがてある場所に到着した。


「ここだ」

「いらっしゃいませ、ご主人様!」


 そこはまさかのメイド喫茶。


「いきつけの店で茶飲み話でもどうかと」

「ちょっとまて金屋子神様。行きつけの店ってまさかメイド喫茶か?」


 ご主人様は神様の言動に激しく突っ込む。


「堅い事ゆぅない。浮世も悪くはないぞ、ほれほれ」


 老人は愕然としているご主人様を無理矢理引っ張って入店していった。慌ててA子たちも中に入っていく。


「お帰りなさいませ、ご主人様、お嬢様!」


 元気の良いメイド店員たちの挨拶に迎えられ、一行は席に着く。

 まだ戸惑うご主人様たちを尻目に、金屋子神はメイド店員にケーキとお茶を注文し、その対応ぶりを見て鼻を伸ばしていた。


「……この爺、本当はジャンク目当てでこの町に居座っているんじゃないだろ」

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