第58話 炬燵

「ご主人様ーぁ、炬燵こたつ出そー、炬燵ー」


 居間で寛いでいたご主人様は、背後からB子に甘い声で抱きつかれた。


「藪から棒に……」

「だって寒いじゃないですかぁ。10月なのに北海道で雪降るなんてありえなーい」

「異常気象って言ってたなぁ。でもなぁ」

「?」

「うちに炬燵は無い」

「ありえなーい! 炬燵が無いなんて、人間の住む家じゃなーい!」

「何を言ってやがりますかこのバカ」


 いつの間にかやってきたA子が呆れ顔で言う。


「ここはエアコン完備なんで炬燵が無くても暖かいの」

「エアコンなんて風情が無い! 日本人の家なら炬燵こそ完備して当たり前! 無いなら買いましょう!」

「買う、って言ったってなぁ……」

「何も掘り炬燵を要求している訳じゃありません! 普通の炬燵で充分です! 暖とともに風情も買うのです!」

「あんた私に節約要求していた癖に余計なモノ買わす気?」

「ねぇ……ご主人さまぁ……良いでしょお?」


 B子はご主人様に胸を押しつけておねだりする。

「おk」

「マテやこの巨乳好き」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る