第17話 夏風邪
ご主人様が夏風邪を引いてしまった。
「あれほどクーラーのかけ過ぎには気をつけて下さいと……」
「この暑さじゃ仕方ないだろ、くしゅん。ところで質問いいか?」
「はい」
「何だ、その格好」
ご主人様は怪訝そうな顔でA子を見る。
「介護の正装と言えばナース服じゃありませんか」
A子はくるりと一回転した。
ピンクのナース服に身を包み、カルテを小脇に抱えてニコニコするA子を見て、ご主人様はため息をついた。
「何か言いたげですね」
「……普通そんな格好するかと」
「メイドたる者、何事にもプロフェッショナルであるべきです」
ご主人様はもう一度ため息を吐き、
「で、その服わざわざ業者から取り寄せたのか」
「はい。この介護白衣は現場で使用されてる本物です。ご主人様は完璧にナースをこなす私を褒めるべきです」
「ごめん無理」
その衣装は、幼児体型のA子には残念すぎるものだった。
「どー見ても小学校の給食当番」
一時間後。
暖房全開で我慢大会を強いられたご主人様は汗まみれで悶死寸前になっていた。
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