私は、夏の日アスファルトで潰されたあの赤い実になりたい

赤い実は何度も車に轢かれた。

ただそこに転がっただけ

原型はとどめず

壊れた事、潰された事、それを訴えるのみ

残ったヘタは頭皮のように

割れた果実の皮は泣いた顔に見え

それすらも潰されて行く過程で版画インクのようにただの色になって行く


罵られ 恨まれ 蔑まれ 名前を付けられ

恥ずかしいと叫ばれながら晒される


プライドを笑われ

それさえ感じる事を赦されなくなった


その亡骸

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る