私は、冬の朝ぼんやり空に浮かんでいる月になりたい。
廃他万都
序
私は、冬の朝ぼんやり空に浮かんでいる月になりたい。そしてそこにたどり着けずに落ちていく鳥の悲しみを感じない揺らぎのない心になりたい。
昼になると明るさで消えてしまう月、そんなはかない存在になりたい。何かの音や色をかき消すような騒音それから目を反らすような存在でありたい。
何故なら彼らは私という騒音を置き去りにし、孤立させ、無視し、破壊しようとするから。
私がただの壁についたセロテープの残った糊それだとしても、彼らはそれをこそぎ落とし、テープでも貼られていなかったように元通り、綺麗に直すだろうから。
私が冬の朝ぼんやり空に浮かんでいる月であれば彼らが気付く前に自ら光という大きな存在でかき消される。そして夜になればそれは私ではないけれど、鮮やかな代弁者が私の形を教えてくれるから。
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