竹河 その三十七
蔵人の少将はいつもの中将のおもとで、辛い気持ちを言葉の限り書き連ねて、
「今はもうこれまでの命と覚悟していたのですが、さすがにやはり悲しいのです。せめて『可哀そうに思う』という一言だけでもおっしゃってくださいましたら、そのお言葉を頼りにして、今少しでも生きられるかもしれません」
などとあるのを中将のおもとが姫君の傍に持っていくと、姫君が二人で話しながらふさぎ込んでいる。昼も夜もいつも一緒に仲良く暮らしていたので、中の戸で隔てられた西と東の部屋に分かれているのさえとても鬱陶しく思い、互いに常に行き来していられるのに、これからは別れ別れになることが悲しくてならない。
今日はとりわけ念入りに美しく化粧して着飾っている大君の様子は、輝くように美しく見えた。亡き父大臣の遺言などを思い出し、しんみりと感傷的になっていたからだろうか、蔵人の少将の手紙を手に取って見てみるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます