竹河 その六
玉鬘の君はこの大君をさらさら臣下に縁付けようとは思っていない。次の中の君なら蔵人の少将がもう少し官位があがって世間体にもあまり軽い身分ではなくつり合いが取れてきたら結婚させてもいいけれどと考えている。
一方、少将のほうはもし許してくれなければ姫君を盗み出しかねないほど君が悪いくらい思いつめている。玉鬘はまったくふさわしくない縁とは考えないが、女のほうで承諾しないうちにとかくの間違いがあったりするのは世間の聞こえも軽々しいことなので、取次ぎの女房たちにも、
「決して決して間違いを起こさせないように注意するのですよ」
などと注意するので、誰もその勢いに気をそがれて、取次ぎをするのも厄介がるようになった。
光源氏の晩年に朱雀院の女三の宮の生んだ薫の君は冷泉院が子供のように思い可愛がっている。今は四位の侍従になり、十四、五歳ほどなった。まだ一向に子供っぽいのは当然の年の割にしては、気性もしっかり大人びたところがあり、人柄も好ましく、人より抜きんでた将来が今からはっきり見えるのだった。
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