若菜 その一〇六
修法の壇を隙間なく作り、効験あらたかな験者たちが集まって、大声で祈祷する。明石の君はこのお産によって自身の運命の未来もはっきりするという瀬戸際なので、気が気でなくひとかたならず緊張していた。
明石の女御の祖母にあたる大尼君も、今ではすっかり老い呆けてしまっていることだろう。それでもこうしたおめでたい明石の女御の様子を見るのは夢のような気持がして、一日も早くとお産を待ち遠しがり、側近くに参上して親しく付き添って仕えている。
これまで母の明石の君は、このように明石の女御にずっと付き添っていたが、昔のことなど決してまともに話さなかったのに、この尼君は喜びのあまり明石の女御の側にいては、いつも涙とともに震え声で昔のいろいろなことを話すのだった。
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