若菜 その八十九
明石の女御は実の母君である明石の君よりも紫の上の方に親密感を抱いて頼りにしている。紫の上も明石の女御がとても可愛らしく前よりもずっと大人びていたのを、心の底から実の子のように愛しく思った。尽きない話をやさしく互いにしてから、紫の上は中の戸を開けて女三の宮にも会った。
女三の宮はあたしかにただたただ幼く、可憐な様子なので、紫の上は気が楽になって年上らしくまるで母親のように二人の血筋の縁故などを辿って話をした。
中納言の乳母という人を呼び寄せて、
「同じ先祖のつながりを辿っていきますと畏れ多いことですが、女三の宮様と私とは切っても切れないご縁があるのです。これまであいさつの機械もなくて失礼しておりました。これからはどうか心置きなく東の対にもお出かけくださいませ。私に不行き届きな点がありましたら遠慮なく注意なさってくださいますとどんなにうれしいことでしょう」
などと言うのだった。
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