真木柱 その十一
髭黒の大将は、玉鬘が宮中に出仕することを心配して、気を揉んでいたが、宮中に出たついでに、そのまま自分の邸に退出させてしまおうという計画を思いついた。そこでただほんのしばらくの出仕だけを許したのだった。
髭黒の大将はこんなふうに人目を忍んで女の許に通いになることなど、これまで経験したことがなかったので、何かと気づまりのあまり、玉鬘を早く迎えようと、自分の邸を修理して内装も整えている。長い年月、北の方の病気で荒れるに任せて埃に埋もれさせたまま、捨て置いていた部屋の内装や設備など、玉鬘を迎えるため、すべてに亘って格式を高くして、改造工事を急いだ。
北の方が悩み悲しんでいる心も察せず、可愛がっていた子たちも、今では目に入らない様子だ。もともと物柔らかで、情が深く思いやりのある人であったら、あれやこれやにつけても、相手にとって恥ににあるようなことは思いやって、気を遣うものだが、この髭黒の大将は融通のきかない、一徹な性分なので、人の気持ちを傷つけるような言動が多いのだった。
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